観劇日時/11.10.26. 20:00〜21:40 劇団名/シアター・ラグ・203 作・演出/村松幹男 音楽/今井大蛇丸 音響オペ/吉田志帆 照明オペ/瀬戸睦代 宣伝美術/久保田さゆり 劇場名/札幌・豊平区 ラグリグラ劇場
今日の観劇で印象的だったのは、ラストに近く、失意に落ち込んだ主人公 の真海(=湯澤美寿々)が、侵入者の男(=平井伸之)を死神と見做して交 わす会話である。 死を迎えるかもしれない真海にとって、見知らずの男を死神と思うのは納 得のいく話で、それに対して男は「人間はいつかはきっと死ぬ。だからあら ゆる人間にとって他人はすべて死神である」と言う。 この物語の基本は、悲観論者が人生に積極的に向かうというものだ。虚無 的悲観論の多い村松戯曲としては珍しいようにみえるが、まったく無くはな い。というか実は逆で、悲観論の裏側に微かな向日性があるという、その両 面があるのが村松戯曲の大きな特徴なのだ。その対比が強く出たのがこの戯 曲で、このシーンはその逆転の象徴を良く現わしていると思われる。