演目 ふんだりけったりクマ神さま
観劇日時11.10.10.  14:00〜14:50
劇団名/やまびこ座・こぐま座プロデュース
脚本/遠州まさき 演出/北村直樹 美術/おばらしげる
衣装/安尻美代子 アイヌ刺繍/西田香世子
音楽/佐藤洋一・秋辺日出男 振付/西田香世子
照明/鈴木静悟 音響効果/西脇秀之 考証/本田優子
劇場名/やまびこ座

アイヌ伝承文学
 最近アイヌ民族の自然感や生活意識などが見直されているという話をよく
聞く。もう30年もまえからそういう先進的な意識の人たちもいたが、高度経
済発展の時期では、むしろ後ろ向きのような考え方と見なされ勝ちであった。
 この原話は、アイヌに伝わるいわゆる散文説話で、故・金成マツさんの記
録と翻訳になる200編以上の中の一編である。
 山の神であるクマもはなはだ人間くさい。見栄っぱりで怠け者でちゃっか
り屋で遊び人でもある。
 ある年の秋、山の神であるクマは人間の里へ降りて一冬分の鮭を捕り、担
いで帰る途中、近道をして普段は別に何の問題もない小川に入って大水に溺
れかけた。そこから人間や他の山の神である、狐やカラスたちに懲らしめら
れる。
 人間たちはクマの神様が肉と毛皮を持って来てくれたと喜び歓待する。魂
だけになったクマの神様は、自分の役割に気ずく。
 車輪付きの衝立を頻繁に出し入れした簡素な舞台で、出遣いの人形たちが
大活躍する絢爛豪華な舞台だが、二つほど気になった。
 一つは衣装の考証である。何か絢爛豪華でアイヌの質実剛健のイメージと
違和感が大きいこと。そしていま一つは人形の大きさにムラがあることだ。
 クマとキツネとカラスはそれなりの大小感覚があるのだが、クマが山にい
てアイヌの人たちと同じような衣装の時に妻の人形が異常に小さいのと、逆
に火の姥神さまが異常に巨大なのが気になる。この二人の人形の極端な大小
に何か意味があるのか不明なのだが……
 出演者 池内潤樹・外川ゆかり・鴻池優子・こいけあい・寺井あゆみ・
     鈴木幸子。