演目 ダンス天国
観劇日時/11.10.2. 14.00〜15.30
劇団名/青少年と山田うん
振付・構成/山田うん 振付助手/伊藤知奈美・飯森沙百合
出演/ふれあいの家利用者25名 
一已小学校ダンスクラブ6年〜4年/26名
山田うん・伊藤奈美・飯森沙百合
劇場名/深川市 文化交流センター み☆らい

清純なエネルギー
 去年、この舞台を観たとき理屈では分からない感動を覚えたので、もう一
度、確かめたくて観ることにした。
 まったく同じ感覚を味わった。去年よりも出場者は多いような気もするが、
人数が増えても質に変わりはない。むしろ量の多さは逆に質の深さを増大し
ているような気がする。
 山田うんと二人の助手は、自分たちも楽しみながら、その楽しさを一人で
も多くの人たちに、そしてその一人一人の人たちが少しでも深く楽しんでも
らおうとしているのが、とても良く分かり、ちょっと気恥ずかし言い方だが、
「清純なエネルギィ」という感覚だ。
 今年は去年よりも構成に一段の成長があったような気がする。山田うんや
助手たちが意図している、団体としての動きが無意識のように流動する姿が
観ていて美しいのだが、それを受けて意識して動く小学生や障碍者のダンサ
ーたちの姿が見事に美しく感じられるのだ。
     ☆
 参考に去年の観劇記を転載して紹介する。
 70過ぎの高齢者で腰が90度近く曲がっている人もいる。そういう人たちが、
ぎこちなく一心に踊っている。当然巧くなんて踊れない。山田うんの動きを
懸命に真似ている。
 山田うんは一人一人と対面して感情を高揚させようとしている。それはダ
ンスを綺麗に見せようという意識ではない。
 リズムに乗って身体を動かしているだけかもしれない。山田うんは流石に
素晴らしい動きを魅せる。彼らは必死にその真似をしようとする。
 そこにはおそらく物語としての意味はない。あるのは気持ちよく身体を動
かして血液の流れをスムーズにしようとしている本能的で動物的な蠕動があ
るだけのような気もする。
 だが逆にそれが命の根源のような気高いような感じがする。僕は突然涙が
溢れた。いままでたくさんのダンスを観た。モダンだったり暗黒舞踏だった
り最近ではコンテンポラリイが多いが、ダンスに意味を求めていた僕はダン
スを観て泣いたことはない。
 感動して高揚したことは何度かある。だが今日の涙はもっと根本的な命の
躍動のようなものに僕の琴線が触れたような感じであった。ダンスって何だ
ろう?ってつくづく思った。そして僕にもこんな感情があったということに、
少なからず感動してしまった。
 「ココ」とは、私がいて貴方がいる「個々」であり、始まる「此処」であ
るそうだ。
     ☆
 去年の観劇記の要点は以上である。その感動の再現を求めてもう一度観た
のだが期待はまったく裏切られなかった。
 前回は単純に感動しただけだったが、今回は山田うん氏たちが信じたこと
を深く掘りながら継続させて、障碍者や子供たちに対する愛情だけとは言い
切れない強い優しい純粋な実行力に胸を打たれたのだった。