演目 ングッ!!
観劇日時/11.9.21.
劇団名/シアター・ラグ・203
作・演出/村松幹男 音楽/今井大蛇丸
音響オペ/久保田さゆり 照明オペ/斉藤わこ 
宣伝美術/久保田さゆり
劇場名/札幌・豊平区 ラグリグラ劇場

悲観論と楽観論の人生
 30代中頃の実に仲の良い3人の女性。それぞれ際だった個性の持ち主だ。主
人公・柳真海(=吉田志帆)は、何かに悩まされているらしい。一種の脅迫観
念であろうか?夢の中で知らない男(=平井伸之)から何かを託される。おそ
らくそれは彼女の妄想であろう。
 キャリアウーマンの真中友美(=田中珠枝)はそういう友人を心から支える。
そして小学4年の男の子の母親で専業主婦である大友厚子(=瀬戸睦代)も同
じだ。
 友美はエージェンシーのやり手としての経験から、厚子は家庭の仕事の延長
として……
 真海は猪突猛進型、男で失敗ばかり重ねているのだが、それを承知の上で二
人は援助を惜しまない。二人にとっても、逆にそれは一つの生き甲斐なのかも
しれない。
 しがない派遣職員の真海は退職して弁当屋を起業する。もちろん二人はそれ
ぞれの得意技で援助を惜しまない。
 だが物事はそんなにうまく行くはずがない。3ヶ月後には最初の予定を大幅
に落ち込み先行きは真っ暗だ。
 おまけに真海は体調に異変を感じる。「ングッ!!」というのはその時に出る
喉の異音だ。落ち込んだ真海は、二人の心配を退けてかたくなに沈黙を守る。
 悲観論者の真海と楽観論者で絶好調の二人、でもその友情は固い。そしてラ
ストは明るい。結局、人生はなるようにしかならない、悲観するよりも楽観し
た方が人生に意味があるのじゃないのかというメッセージなのか?
 初日に観たときには男の存在が気になったが、これは逆にやはり悲観論から
楽観論に移る気持ちの切り替えを経験した男の側からの妄想なのかもしれない。
だから両者の接点はその両側から観ればいいのであろう。