演目 LOVELESS
観劇日時/11.9.18.
劇団名/弦巻楽団
作・演出/弦巻啓太 舞台監督/高橋詳幸 照明/清水洋和
音響/大江芳樹 衣装/佐々木青 映像/上田龍成
演出助手/畠山由貴・小佐部明弘・吉原大貴
小道具/渡辺康平・谷内望美 宣伝美術/本間いずみ
制作/小室明子 制作助手/桑谷麻理菜
劇場名/コンカリーニョ

一種の青春残酷物語
 田舎の街の高校を卒業した同級生の4人の男の15年後の再会。
 音楽を目指して病身の母を介護しながら流行らないそば屋を経営する数希
(=菊地英登)。これも流行らない父親譲りの自転車店を営むサドル(=小林
エレキ)。財閥・豪徳寺の娘に利用されて町長になっている良靖(=山崎孝宏)、
そして恋人に裏切られた外科医の征規(=村上義典)。4人は街の胡散臭い神
父(=深浦佑太)の勧めによって時間の井戸に入り込み人生をリセットしよう
とする。当然うまくゆく訳はない。愛情の挫折、金銭の欲望、才能のなさ、そ
してまずい生き方。
 それぞれの4人は何度も同じ失敗の人生を繰り返し、ついには全員、悲惨な
最後を迎える。暗い芝居だが人生の大部分はそうある事実でもあろう。作者が
若い時に書いた作品だというが、やはり若さの苦渋を暗示した一種の青春残酷
物語であろう。
 時間の井戸に潜り込むという設定が、リアリティから浮き上がってしまって
ちょっと入り込みずらい。もっと素直にあのとき、どういう選択をしたか?と
いう視点で別の人生を描いてみるという表現方法があったのではないかと思わ
れる。その方がリアルに物語が展開されて納得がいくのではないかと思う。
 悲惨な人生であるが、それが絶叫調に演じられるのも、わざとらしい。もっ
と淡泊な部分もあった方が悲劇をより強く感じさせるのではないのかと少し残
念な気もするが、骨太の悲劇を観たのは確かであった。
 その他の出演者。青木玖璃子・阿部星来・小佐部明弘・楽太郎・小山佳祐・
                 能登屋南梨・佐藤愛梨・柴田知佳・小池瑠莉・吉原大貴