演目 すぅ〜ちゃんのクッキー占い
観劇日時/11.9.3.
劇団名/3ペェ団札幌
公演回数/第6回
作・演出・照明/長流3平 音響/棚田満 音楽/ラバ
舞台/忠海勇 小道具/忠海勇・長流3平
衣装/長谷川碧 宣伝美術/中村犬蔵
制作/3ペィ団札幌
劇場名/レッドベリースタジオ

青春の不安と成長の記録
 僕が観た今までの『3ペィ団』の舞台では、突出した秀作だった。
 それは二つあって、その一つはギャグを含めたエンターテインメント性が洗
練されていて抵抗感がなかったこと、素直に笑えること。そして一番大事なこ
とは、この芝居の芯である話の展開にリァリティがあり、オリジナリティが感
じられることであった。
 高校生にしては幼いすぅ〜ちゃん(=長谷川碧)は、悪夢に悩まされて安眠
できない。親友のすみれちゃん(=荻田美香)に連れられて来た専門外の外科
医(=棚田満)の紹介で、夢占い喫茶店のマスター(=忠海勇)を訪れる。
 そこで得た診断は、悪夢にでてくる、自分を要らないという怪人(=瀬川圭
介)を夢の中の人物なのだから意志を持って拒否するようにという助言を受け
る。
 それからが桃太郎のパロディで、夢の中の鬼退治が大騒動で展開される。こ
れが荒唐無稽ながら大爆笑で、この舞台の白眉だ。計算された装置や衣装の変
化もギャグとして見せる自信満々の表現技術だ。
 彼女には二つのコンプレックスがあった。一つは片思いの恋であり、今一つ
は自分の出自だった。つまり自分は産まれてくる価値や意味がなかったのでは
ないのかという哲学的・根元的な悩みだ。
 親友は母親であり、退治すべき鬼は父親だったのだ。子供は親を選んでこの
世に現れるという占い喫茶店のマスターの言葉が彼女を生き返らせたのかも知
れない。
 長流3平、おそらく僕が観た初めての秀作であった。
 その他の出演。喫茶店の店員=柳瀬泰二・
 喫茶店の謎・女ポポロン=しゅうやまもと・
 看護師・まるみ=村瀬有香・
 友人ケンジ=吉川直毅・友人オノデラ=薄井寒太郎