演目 A Vital Sign
観劇日時/11.7.26.
劇団名/劇団どくんご
スタッフ・出演者は、札幌と同じ
劇場名/留萌市・留萌神社境内・特設犬小屋<eント劇場

『ベビーフードの日々』の影響
 札幌で観た感想は、「今年の『どくんご』には何もない。あるのはひたすら
玩具箱をひっくり返したようなナンセンスで無意味とも思える大騒ぎだけなの
だ。」と書いた。
 だが、果たして本当に何もないのだろうか?僕の物語原理主義は執ように何
かを求める。
 やっと何かを探し当てたと思えるのは、マイノリティに対する優しさではな
いかと思った。力や権力などと一線を画し、もっと弱いもの、自分より下のも
のたちに対する心遣いのような思いが感じられるような気がした。
 おそらくこれは、僕が初めてこの劇団の芝居『ベビーフードの日々』を観た
ときに強く感じた思いが下敷きになっているのかもしれない。
 『ベビーフードの日々』は、2ステージを観て、やっとそういうメッセージ
があるのではないだろうか?と辛うじて思い当ったほどユニークで初めての観
劇体験で、それほど難解だったのだが、それを探し当てたときには何か大事な
宝物を見出したような気分で、随分と嬉しかったのを今も覚えている。
 でもやっぱり余計な意味など考えないで彷徨う方がもっと良いのかも知れな
い。この舞台はそういう舞台なのかもしれない。だが僕の物語原理主義者とし
ての業は、やっぱり何かを探し求めて舞台を彷徨うのだ。