演目 かせつ×くつがえす試練=10×54
観劇日時/11.7.23.
劇団名/PaingSoe
公演回数/3rd
作/川尻恵太・南参・ミヤザキカヅヒサ・深浦佑太・江田由紀浩
演出/山田マサル 音響/奥山奈々 照明/前田ゆりか
舞台監督/上田知 舞台美術/高村由紀子 
舞台部/山崎亜莉紗 衣装/宮田碧・澤田未来 
映像部/上田竜平
主題歌/あらいふとし 
フライヤ写真撮影/奥山奈々 フライヤデザイン/山田マサル 
制作/前田ゆりか
劇場名/BLOCH

ひっくり返したおもちゃ箱 U
 物語原理主義者の僕としては、この舞台はかなり厳しい、厳しいという意味
は、否定するのではなく自分の思いに引き込みにくいということである。
 さて、この舞台、良く言えば百花繚乱だが、悪く言えば何が何だか意味不明
ということだ。
 様々なシチュエーションが入り乱れて、時間も相前後して展開されるのだが、
辛うじて僕が読みとったのは二つの物語であった。その一つは、高校の学校祭
の出し物を決めるあるクラスの討議である。
 そこでは、酔っぱらいの生徒(=ツルオカ)が提案した「何だい」というテ
ーマが、歌やダンスや何故かスリランカの留学生が提案した「紅茶」という訳
の分からないテーマに勝って採用される。その混乱が笑劇的に表現される。
 生徒たちに混じって優柔不断の先生(=藤谷真由美)の存在がこの笑劇を煽
っているのが滑稽だが印象的だ。
 高校生が常時酔っぱらっているというのも不条理であり、「何だい」という
テーマも意味不明だが、「何だい」は結局「まんざい=漫才」となるのだが、
この課程が何度かに亘って現れる。
 もう一つの物語は、同伴者(=藤谷真由美)に飽きた男(=ツルオカ)の、
あの手この手の逃亡劇だ。だがこの逃げの一手も見ている方からみると何とも
不徹底極まりない。
 ツルオカと藤谷のカップルが表現する二つのパターンを繰り返し繰り返して、
もう終わるかもう終わるのかと思わせながら延々と続けられる、展望のない、
終わりのない世界で結局、良く分からない展開であったが、なぜだか観入って
しまう、こういう人間の存在の不思議な面白さを感じさせた。6月に上演され
たツルオカと藤谷の二人芝居の発展形らしい。
 その他の出演者は様々な役柄で登場するのだが、物語が錯乱しているので、
誰がどれだか判然としない。だが、それぞれの個性が際立って人物の印象は強
い。
 赤羽翔次郎・氏次啓・堀内浩水・小島達子・吉田菜穂子・脇田唯の出演であ
る。