観劇日時/11.7.18.
劇団名/劇団どくんご
公演回数/第25番
構成・演出/どいの
制作/黄色い複素平面社・プラスマイナスゼロ・時折旬
出演/空葉景朗・暗悪健太・五月うか・2B・まほ・
ワタナベヨヲコ
劇場名/札幌・円山公園・特設犬小屋<eント劇場
ひっくり返したおもちゃ箱
このユニークな劇団『どくんご』を観るのも4作目だが、今までは何とかそ
のシンボリックな作風の中にある何物かを見出そうとする努力を重ねてきたよ
うな気がする。
そしてそれは必ずしも無駄ではなかったような気もしていた。だが今年のこ
の舞台を観て、そういう努力が何か無意味なような気がしてきた。
この舞台は、そういう気分を全く嘲笑するように全く何もないのだ。いっそ、
清々しいくらいあっけらかんとしているのだ。
次々と繰り広げられる騒動、そうそれはかつての舞台もそうであったが、ま
さに造られた騒動なのだが、それには何らかのシンボルがあるような気がした
し、まさしく、そのシンボルを探し当てることが出来たような気がして、それ
が『どくんご』の真骨頂であると確信していた。
だから今回はどんなメタファーがあるのか、それが楽しみであったし、それ
こそが『どくんご』の存在価値だと思っていた。
第一『どくんご』という劇団名にも、その象徴性を探していたのだが、今と
なっては、劇団自体がそのことを曖昧にしているのも、逆にそういう意味性か
らの脱却の意志だったのかもしれない。
それほど、今年の『どくんご』には何もない。あるのはひたすら玩具箱をひ
っくり返したようなナンセンスで無意味とも思える大騒ぎだけなのだ。
だけれども、そのナンセンスな大騒ぎがちっとも退屈ではないのだ。次に何
が起こるのかという不思議な期待感が続く。きっと人間の営みもそういうナン
センスな大騒ぎの連続なのかも知れないという感懐が面白い。