演目 男亡者の泣きぬるところ
観劇日時/11.6.4.
主催/北海道演劇財団・NPO法人TPSクラブ
脚本/ごまのはえ(ニットキャップシアター)
演出/山浦徹(化石オートバイ)
舞台監督/若旦那家康(ropeman32) 音響/竹下祐貴
照明/南勇樹(芝居処味一番) 舞台美術/柴田隆弘
写真/堀川高志 宣伝美術/黒田武志 
プロデユーサー/笠原希
劇場名/札幌・中央区 シアターZOO

関西らしい激しい表現
 男2人がエレベーターの故障で運転中に内部に閉じ込められる。
一人はこのビルの中にある会社の営業マンで、今夜子供が産まれる
ところである。そしてもう一人はフリーターで、このビルに何の用
があったのかは分からない。
 幸せの絶頂と落ち込み中の男、偶然同じ名で歳も同じことから生
年月日も同じと分かる。そして同じ田舎町の高校の同級生であるこ
とも分かり、一方が他方の父親に酷似していることから同じ産院で
間違えられた可能性が強い。
 絶頂男は受験に失敗して自殺を図ろうとしていたところを落ちこ
ぼれ男に助けられ、そのころと今では立場が逆転していたのだった。
 この辺は偶然性が強すぎるのと、そんなに近しいのにお互いのこ
とを中々認識できないというのは無理がある。
 その後、二人の人生が激しく語り出される。まさしく激しい表現
だ。架空の国の内戦の歴史がプロレスという肉弾戦で語られながら
演じられたりする。でもこれって二人にとって、どういう意味があ
るのだろうか?
 そのほか様々な展開が二人何役もの早変わりでエネルギッシュに
演じられ、二人の関係が逆転したところでエレベーターの扉が開か
れる。
 最初、舞台は赤と青との四本柱でエレベーターの内部を象徴させ
ていたので、これはきっとプロレスのリンクに使われるなと思って
いたら、案の定リンクはもちろんその他様々な装置として上手く使
われていた。
 二人の会話の中で「なぜ生きるのか?」という落ちこぼれ男に対
して、絶頂男は「どう生きるのか」と答える。
 終演後のアフタートークで坂口修一が「普通の芝居は対人関係の
噛み合い方がギクシャクして濃密な時間と空間とが創りにくく隙間
が出来るのだが、一人芝居は全部自分一人で引き受けるので創り易
い」というようなことを言っていたのが、一人芝居の功罪を考えて
いる僕にとって印象的であった。