演目 VISA GIREN
観劇日時/11.5.21.
劇団名/怪獣無法地帯・くつした企画・3ぺェ団札幌
台本・演出・照明・音響/黒田拓
制作/要害里奈 衣装/藤野羽衣子 
デザイン・小道具/土方雅人 音楽/今井大蛇丸
出演/伊藤しようこ・長流3平・棚田満・吉川直毅・忠海勇・三島
祐樹・長谷川碧・柳瀬泰二・山本しちゅう清美・渡邉ヨシヒロ・
屋木志都子 
劇場名/札幌・中央区 雑居ビルの4F ATTIC


荒唐無稽の虚無的活劇劇
 タイトルとフライヤー・ジャックの片言っぽい語句から考えて、
おそらく不法滞在の外国人の物語であろうと思っていたら、その通
りだった。
 出稼ぎの外国人労働者がヒトラー風の選民思想と、不況のために
追い出されて官憲に追われ流浪している時に、やはり不法滞在の外
人ながらインチキ宗教の女宣教師に助けられる。
 彼女は日本人を全滅させる毒の液体を持っているのだが、それを
ばら撒いて日本人は全滅する。
 欧米某国はそういう日本を占領しようとするが、南極に残った日
本人のDNAの因子を受け継いだ生命体を温存する研究者が日本人
を再生しようとして活躍する。だがそれも選民思想を持つDNAな
のだ。
 教室ほどの小さなスペースに舞台と客席30人くらいの狭い空間、
しかも劇の中頃には客席ごと、上手と下手をカーテンで仕切って、
それぞれが別の展開を演じる。
 それはおそらく占領しようとする外国人と、そうはさせまいいと
する在日外国人との小競り合いを同時多発に見せる仕掛けであろう
か?
 荒唐無稽の大闘争劇でありながら、大げさにいえば日本の危機を
世界視野で俯瞰してみたということが言えるのかもしれない。
 ラストが抗争の最中のままに尻切れトンボに終わったのがいかに
も虚無的な感じがして、やっと長い物語が終わったと思うと同時に、
収拾がつかなくなって放り出された気もした。
 ただ笑いを起こさせる要素がほとんどないのが残念であり、どう
いう形でも良いからもっと笑わせる仕掛けが欲しかった。キャラク
ターや動きのおかしさで笑わせようとしているのだが、それは白け
の寸前でしかないのだ。