演目 乱歩地獄
観劇日時/11.4.23.
劇団名/実験演劇集団「風蝕異人街」
原作/江戸川乱歩
構成・演出・照明・美術/こしばきこう 音響/MIKI
泥絵制作/堀紀代美 舞台監督/山本義孝・宇野さおり
協力/和泉一恵
劇場名/札幌・中央区・栄輪ビル地下 アトリエ 阿呆船


中途半端な乱歩劇
 乱歩という作家は、オドロオドロしいイメージが強いが、それは
人間の心の奥底にドロドロと漂う奇怪な心理を現実に表してみたら
どうなるか? という実験をしているような物語であると思う。
 今日の舞台も、乱歩の作品をアレンジしたのだが、どうも中途半
端な処理としか感じられない。
 僕も乱歩の異常心理とその追跡は、現実にはあり得ないとは思い
つつ、深層心理にはすべての人たちの中に必然的に有りえる心情だ
から、見ていてそれはないよとは言えないリアリティがある。と思
っていた。
 だが、舞台はそうはならなかった。演技者たちは、何かに遠慮し
ている。表現とは、自分自身の本当の心情を、そのままに表現する
ことだろう? だがまだ変に常識に遠慮している。
 乱歩の異常意識とその表現には遠く及ばない。乱歩の異常意識っ
て何だろうか?すべての人間にも当然あるけれども隠している意識
とその表現であろう。
 残念ながら、この舞台はその意識の高さにも関わらず、意余って
力足らずの中途半端な舞台であったのが残念であった。