演目 出発の詩集(たびだちのアンソロジー) モスクワからの退却
観劇日時/11.4.19.
劇団名/加藤健一事務所 VOL.78
上演形態/旭川市民劇場4月例会・40周年記念
作/ウイリアム・ニコルソン 訳/小田島恒志
演出/鵜山仁 スタッフ記載なし
劇場名/旭川市公会堂


無駄な心理攻防戦の2時間
 結婚33年目を迎える、詩人の妻・アリス(=久野綾希子)と教師
の夫・エドワード(=加藤健一)は平凡だが仲の良い夫婦であった。
 だがそれは表面上で、アリスはエドワードに対する自分の熱烈な
愛が受け入れられないことに焦慮感を持ち続けていた。
 一方、エドワードの方はアリスに合わせることに疲れ果てていた。
 この噛み合わない夫婦の対立は、それほど珍しいことじゃないと
思う。いかに賢明に対処するかが問題であり、そこがおそらく喜劇
になるのだと思う。
 ところがこの舞台は、この噛み合わない二人の関係を、一人息子
・ジェイミー(=山本芳樹)を間に挟んで延々と台詞のやり取りを
続ける。
 そして結局別れるのだが実りが無いし、第一、発展も挫折もない、
ただひたすらこの関係を露わにする過程だけなのだ。
 しかも、このアリスは自分だけが正しいと信じて、それを声高に
主張するだけだから嫌な女に見えて、もういいよ、僕だったらこん
な女と一緒に居たくない、しかもエドワードはもう昔の彼女でない
アリスを愛していないのだと思うと、この2時間に亘る心理攻防戦
は、とっくに終わっているはずだと思うと何か無駄な時間だったと
思う。