演目 teatro ristorante
観劇日時/11.4.10.
4つの劇団がそれぞれ短編を持ち寄って構成した1時間半。だがそ
の4編には何の繋がりもない。アラカルトである。
主催/村山真希 宣伝美術/大塚黒
制作サポート/山岡紘美 照明/山本友佳 音響/石沢治郎
映像/ex.古跡 舞台監督/はしもといっせい
劇場名/BLOCH


演目1 底抜けビルデング‐崖の上のキミの家
劇団名/星くずロンリネス
脚本・演出/上田龍成

 崖の上の3階建てマンション。それぞれの部屋ではそれぞれの騒
動が起きている。そこへ管理人が「マンションの底が抜けた」との
んびりと急を告げる。
 3組の居住人が入り乱れて大混乱するナンセンス笑劇だが、意気
込みの割には面白くない。ギャグの切れ味が悪く、単なるバカ騒ぎ、
それも出し切れてなく中途半端な舞台だ。無理に言えば、デマに惑
わされる付和雷同の物語か?
 でも、どんな騒動が起きたのか改めて考えても思い出せない。

演目2 あたしたちの25時
劇団名/massive 4tsp.
脚本・演出/すだけいた

 これも何を描いたのだったか、今思い出そうとしても思い出せな
い……何か、複数のグループの軋轢だったような気がするが、おそ
らく『星くずロンリネス』と被って記憶が朦朧としているのだろう。
それくらい無個性だしインパクトもない。

演目3 私事
劇団名/nargiless
脚本・演出/稲田桂

 出し物を急遽差し替えて、予告のコメディを取りやめ、自分の生
きてきた23年とこの2日間の思いを淡々と4人の劇団員がノートを
読み上げる。
 それは東日本大震災の客観的状況を無表情に輪読するだけだ。た
だ事実をそのまま淡々と次々に読み上げるだけで、逆にかえってそ
の事実が迫る。
 これは演劇とは言えない。まさに表題通り、『私事』であろう。
だが作者は現在の心境はコメディではなかったというのがあえてこ
のような表出になったのだろう。
 その心境を正直に露出したことが、演劇とは一見、関係が無いよ
うにみえて、むしろ打つものがあったのだ。

演目4 FM
劇団名/リベラルシアター
脚本・演出/Chihiro

 これも前2者と同じように様々なシチュエーションに展開する軋
轢の滑稽な描写である。
 同じように訴えるものがなく単なる騒動であり、その騒動の顛末
である。

 ☆

 4編を総じて言えることは、稲田桂を除いて笑劇を創ろうとして
底の浅いドタバタをやってしまったということであろうか?
 ここには正味でいうところの喜劇はなく、コメディもなく、ある
のはどうでもいいような時間潰しであり、得るものの無さに失望し
た。