演目 ジャマコ、せかいをすくう
観劇日時/11.4.10.
劇団名/演劇企画運営団体 ハムプロジェクト
上演形態/北海道まちめぐり公演 札幌前哨戦
脚本・演出/すがの公
制作/井嶋マキ子・佐々木陽子・宅間恵・中村郁子・立川佳吾・
古崎瑛美・フリスク・楢山美樹・牧野千里
劇場名/札幌・中央区 食べ飲み屋・SUWA!!


近未来のお伽噺
 ジャマコは、邪魔子であろうし、疎外されて引きこもりになって、
いつもパジャマを着ているパジャマっ子でもあろう。
 すべてこのようにほとんど駄洒落で展開される近未来のおとぎ話
なのだ。
 近未来の話というと普通SFなのだが、これは違う。身近な弱い
人の絶望と、沸き上がる希望と夢の話なのだ。それをおふざけ半分
の、しかもとうてい劇場とも言えないような居酒屋さんの客席を使
って上演する。
 その空間の大きさとは、昔風にいうと1坪くらいであり、約2メ
ートル四方くらいの空間であり、普通2・3人で座談するのでさえ
狭く感じる空間である。そんな極小空間で、照明・音響を含めて、
実にきちんと、しかも軽々と上演する。
 その熱意というか、ポリシイがひしひしと伝わる。今日の舞台も
わずか20人前後の観客が、じっとこの狭い場所で息を飲んで魅入っ
ている状況を確認した。酒肴は有料で提供されるのだが上演中に酒
を飲むのを楽しんでいる客はいない。すべて終演後に改めて飲みな
がら観劇後の感想を語り合うのだ。
 この風景は、先日の『悪いのは、誰だ』と並んで、舞台と客席と
の親和感という意味で、「演劇」というよりはむしろ「芝居」と言
いたいような雰囲気を持った舞台であった。もちろん「演劇」と
「芝居」との同じ点と異なった点についての僕なりの見解は持って
いる。
 この舞台には細部にはいろいろ問題はある。それを一つずつ克服
して、芝居として完成させていく課程を見守りたいと思うのであっ
た。
 出演者。天野さおり・大澤恵衣・小川しおり・彦素由幸・
 (ダブルキャスト)渡辺友加里・松下綾華