演目/決戦・サンピアザの戦い

観劇日時/11.3.30.
劇場名/札幌・新さっぽろ・サンピアザ劇場


 
昨日に続き、今日はこの劇場で二つの高校演劇部が上演したが、これは観客の投票によって優秀校を決めるというシビアな対決公演であった。
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■演目1  きらきらひかるよぞらのほしよ
 
劇団名/伊達緑丘高等学校・演劇部
作・演出/寺沢英幸 舞台監督/江田あゆか
照明/細越菜月 音響/渡部久見子

高校女子の10年後

高校を卒業して10年目の女。未だにフリーターをやっている。離婚した母親が再婚する祝宴に、彼女が高校時代に3人で作ったチアリーダーのクラブの仲間でお祝いのダンスをやろうと思い立つ。だがあれから10年、仲間たちにもそれぞれの苦難の道があったのは当然であろう。
 やっと一人が夜も遅くなってから呼びかけに応じて真夜中の公園に来る。だが二人の話は相談というよりは、発起人の女の懐旧談やこれからの希望的観測の話、そして仲間たちの様々なこの10年間の苦闘の歴史だった。
 これらの歴史と希望とを次々とエネルギッシュ展開するシーンの数々は魅力的だが、なんだかオーバーアクションでいささか食傷する。若いから精力的に動き回るのだが、未整理な動きが邪魔をする。
 苦難の現実の中から何かの曙光を求めて明るく苦悩する遅すぎる青春の群像という物語であろう。28歳というのは微妙な年齢であり、現役高校生にとって過酷な設定であろうか?
 彼女らはすっ飛ばして明るく演じる。スピードとエネルギーで後味は悪くはない。
出演は、板垣千春・我孫子利奈・江田あゆか・加藤絵理奈・清水拓斗・斉藤麻美・田中沙織・宮川桃香・横山和希・
 中村琴恵絵・佐藤香菜。

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■演目2  じゃんばらや

劇団名/札幌厚別高等学校演劇部
作/大垣ヤスシ 演出/藤根知美 照明/石岡未来
舞台監督・音響効果/林和佳奈
道具/藤田亜里沙・住谷朋代 演出協力/信山E紘希

架空家族・幻の物語

 パソコンのメールで集まった架空家族の物語。幻の家族の連帯を求める人は意外に多いのだ。だから、この設定の話は良くある。
 ここに集まった人たちは、それぞれに何らかの心の痛みを持っていて、家族の繋がりを密かに求めているのだ。
 父・母・娘・弟と理想的な架空家族のメンバーが集まる。だが遅れて来る二番目の父や、空き家だと思ったこの家の主である借金に苦しむ一人暮らしの老婆、自閉症の一言も口を利かない弟、娘を連れ戻しに来た本当の父親などが現れて、混沌とする。
 結局はそれぞれが現実の生活に戻っていく。そんな理想的な家族なんてないんだよ。みんな悪戦苦闘して生きているんだよということを再確認する。
 3人の父親や老婆、二人の母親、自閉症の少年など、事実上の年齢や境遇などを感じさせない演技のリアリティに驚いた。高校生離れしている。
出演者、坂井克郁・井上乃彩・山本眞綾・鎌田有紀・
小島拓也・佐藤海斗・千葉健太・加藤あすか・手嶋由衣・
曾根田愛・遠藤雪乃・山下瑚波