演目/R.P.G.

観劇日時/11.2.27
劇団名/朋友
原作/宮部みゆき 脚本・演出/古城十忍 美術/二村周作
照明/磯野眞也 音響/黒澤靖博 舞台監督/渡辺弘
制作/夏川正一
劇場名/東京・中野 ザ・ポケット

少女の心情

 
ある家族の父親はとてもフランクな考えの持ち主で、娘一人の健康な家庭を営みながら、若い女性と自由に交際していた。妻は家庭を壊さない限り、エネルギーの源泉だと容認していた。
 一方、父親はインターネットで仮想家族を作っていた。仮想の娘は実在の少女でありそこでは理想の親子であった。その家族に弟と母親が参加してきて、ついにはオフといわれる実際に会うということになる。
 父と関係のあった若い女性が殺された。続いて父・本人が殺される。警察の事情聴取室での関係者の聞き取りの場面から幕が上がる。ハーフミラーの向こう側には、本物の娘が見ていて関係者には気づかれないように質問したり希望を伝えたりする。この場面が素晴らしい。
 現実の家族の生活と、クロスして仮想の家族の理想的な暮らしが演じられて違和感はまったくない。
 本物の娘は途中何度も中座してボーイフレンドに電話をする。事情聴取中に緊急連絡があって、被害者の血の付いたブレザーコートが発見されたという報告が入る。
 娘は父を少女らしい潔白さで憎み、本当の家族って何だろうと悩んでいた。電話の相手が同情から父を刺殺したのではないかと思ったが、実はこの娘が手を下したのだった。
若い女と父親が殺されるとき、左右に立った二人は頭上から照らし出されるスポットライトに浮かび上がると、流れ落ちるような真っ赤な細かい紙片のような布きれのような血を象徴する鋭い滝の流れのようなものが降り注ぎ、それは凄惨で残酷でありながら様式的で美しい慄然とするような光景で、まさにこの少女の心の闇を洗い出すような粛然とするシーンであった。
 家族の崩壊をインターネットの媒介で描いた10年前の小説は、時代の先端を行く話だが、この舞台はその原作が良いのは当然だが、それを立体化した脚本・演出そして演技者たちの表現力が傑出していた優れた舞台であった。
タイトルのRPGとは「ロール・プレィイング・ゲーム」である。
 配役は表がなくて分からないので出演者の連名とします。
西海真理・木野しのぶ・水野千夏・奥村洋治・鈴木弘秋・
伊藤治郎・合田真依子・池田恵子・伊藤まゆ・森口桂之・
遊佐彩乃・細田知栄子・服部訓広