演目/てけれっつのぱ

観劇日時/11.2.22.
劇団名/劇団文化座
公演形態/旭川市民劇場40周年
原作/蜂谷涼 脚本/瀬戸内郁 演出/西川伸廣
美術・衣装/朝倉摂 照明/櫻井真澄 音響/齋藤美佐男
舞台監督/森正夫 制作/中山博実
擬闘/渥美博 薩摩弁指導/森下廣子
劇場名/旭川公会堂

諦めない根性

 
「てけれっつのぱ」とは幕末に活躍した落語家三遊亭圓朝がイタリアのオペラから翻案したと言われる落語『死神』の中で、死神を追い払う呪文である。つまり悪い兆候を払い捨てる覚悟を込めた言葉なのだ。
さて明治初年、といえば先日に観た『旗ヲ出スベカラズ』と奇しくも同じ時代で、こちらの舞台は隣の小樽である。
そのころ新しい東京で、成り上がりの官吏である別所鐵太郎(=津田二朗)は、上昇気向の強い自分中心の男であったが、北海道開拓使を命じられ、第二夫人・あや乃(=阿部敦子)を伴って札幌に赴任する。
あや乃は、没落した旗本の娘で芸者から鐵太郎に落籍されたのだ。だが彼女は自立心の強い女性であり、自由な地として小樽を選び、長年の同志・女中のおせき(=佐々木愛)と一緒に『きし屋』という総合物販店を開く。
おセキを案じる息子夫婦・熊吉とおふく(=鳴海宏明・高村尚枝)や、あや乃を慕う車屋・銀次(=沖永正志)と相棒で髪結ながら、まるで現代の女プロレスみたいな大柄で腕力のある金髪のロビン(=小谷佳加)、それに何と本妻の佳代(=有賀ひろみ)までが鐵太郎に愛想を尽かして合流する。
様々な障害があって鐵太郎は一同を見捨て、最後には地上げ屋が放った放火で『きし屋』は全焼する。だが彼らは挫けない。全員で「てけれっつのぱ」を唱えて再起に向かう。
笑いあり涙ありの、向日性の強い娯楽劇としては正調であり社会性もあり面白い。
その他の出演者、あや乃の親戚(=五十嵐雅子)、地上げ屋のやくざ(=佐藤哲也)、その舎弟(=白幡大介)。