演目/ダンスコレクションMICCHI 2

観劇日時/11.2.5.
劇団名/風蝕異人街
照明/こしばきこう 音響/宇野早織 宣伝美術/MIKI
劇場名/札幌・中央区・雑居ビルの地下室   阿呆船


■アデクターズ(〜にふける人々)
創作/布上道代
出演/伊勢谷朋子・ヒロコ・三木美智代・布上道代
 日常の生活の一部分、たとえば雑誌を読む、駄菓子を食う、何かの手作業をする、見えない椅子に座って眺める、等々の―耽溺する人たち―の姿を一瞬だけ見せる。次の場面ではその日常生活の姿態をダンスの動きで見せる。
 当然、具体的な衣装はこの場面では抽象的な衣装に替わる。激しい動きから緩慢な動きへの変化が美しい。

■レスポンスは……
■そうしたら私は……
伊勢谷朋子
 抽象的な動きだが、緩いBGMには鋭い動き、逆にテンポの激しいBGMにはゆっくりとした動きなのだが、その時に体がぶれる。決まった瞬間の体位は美しいのだが……

■水の鏡―ブレイン・トリップ 江戸川乱歩『蟲』より
演出/こしばきこう 出演/丹羽希恵
 大きな鏡に屈み込む女が一人、光線が反射して背景に映るその影が幻想的だ。
 水を掬って飲んだり、体に浴びたり……女は恋に悩んでいるようだ。失恋は全身に虫が這い回る感覚。掻き毟る、掻き毟る、掻き毟る……
 最初、虫が「無視」と聞こえて、男に無視された感覚かと思ったが、「無視」と「虫」じゃアクセントが違うはずだった。
 乱歩の蟲だから当然「虫」だったのだ。

■海に映った月    野田秀樹『ザ・ダイバー』より  
三木美智代
 電車の吊革にぶら下がるOLあるいはサラリーマン。衣装が替わると海の女だ。
 獲物を狙う女。歓喜の女。悲嘆の女、拒否の女、苦悩の女、開き直りの女、そしてどうなるのか? 最後に元のOLらしい姿に戻る。

■底から。そこから。ここから。
布上道代
 低く這い出て、のたうつ女。苦しみながら立ち上がる女。
何かを求めて動く女。最後に照明が明るくなると、そこをめがけて歩み寄る女。

■バレンタインデー
出演/石垣通子・三木美智代・池上信子・布上道代
 男に振られる女たち、コミックダンスというよりも、コミカルパントマイムと言った方が良さそうだ。
 達者な技術で、客席の若い人たちを笑わせる。堅い演目の後ではリラックスするエンターテインメントであろう。
 すべての演目が女性だけなのが寂しい気がする。そしてこのすべての演目は全部、僕の勝手に想像した物語なのである。