演目 スターゲイザー
観劇日時/10.9.17.
劇団名/リリカル・バレット
作・演出/谷口健太郎 照明/相馬寛之 
音響/若林宗由・橋本一生 舞台/上田知宣
伝美術/星雅也 共同プロデユーサー/秋元幹子
劇場名/BLOCH

社会告発型夢幻的サスペンス
道東の架空の駅・「恵織」おそらく帯広から、同じ架空の駅・「天館」おそら
く稚内まで、ありえない路線を通って観光用の特別急行夜行列車が運行される。
出張帰りに慌てて間違ってこの列車に飛び乗った藤巻亮太(村上義典)は不思
議な乗客たちに戸惑う。
話は一年前の同じ特急列車の脱線事故の回想が頻出する。乗客を安全に目的地
まで運ぶことが交通機関の第一目的だと信じる車掌・矢崎(谷口健太郎)と営
業成績の為に老朽化して危ない路線を無視しても特急観光臨時電車を走らせた
い鉄道会社の意を受けた監督官(=深浦佑太)。
そしてついに起こるべくして起き特急電車は脱線して湖に転落、全員死亡の大
惨事。今日の乗客は、その関係者や遺族たちが、その被害を思い出に風化させ
たくない思いでネットで集まった自殺希望者の人たちであったのだ。
そうとは知らない藤巻は何とかそれを止めようとする。ある事件が解決した慰
労のためにこの電車に偶然乗った女刑事(=森田亜樹)も協力するが、彼らは
自殺の意志を曲げない。
去年と同じ場所で脱線転覆することが意識的に出来るという必然性が説明され
ていないのが気になるが、僕が大事なメッセージを聴き逃したのだろうか?あ
るいは、この電車の存在そのものが夢想なのだろうか?
藤巻は、去年の事故の時、偶然に「事故原因を会社側は熟知していた」との証
言を録音した携帯電話を入手し、そのとき一人だけ生き残って今回も同じく車
掌を続けている矢崎の手配によって列車を一時減速して下車逃避させられる。
藤巻がこの証拠を元に事故の遠因が会社にあったことを明らかにする事を信じ
て……
話をここで終わらせた方がすっきりとすると思われる。エピローグのように藤
巻の新妻(=原田充子)が去年この企画を作って事故に巻き込まれた経緯の説
明や、人々の思いや最後に死んだ人たちとの再会などは蛇足と思われる。
谷口健太郎の装飾過多ないつもの演出は、今回うまく嵌まったようであり大い
に魅せた。
その他、田嶋の兄で自殺志願者の首謀者(野村大)
女刑事の後輩刑事(=あっこ)
それぞれ事情を持った鉄道フアンの4人
                  (=隅田健太郎・チャゲンタ・寺地ユイ・田所竜一)。