演目 女中たち
観劇日時/10.9.11.
劇団名/実験演劇集団「風蝕異人街」
作/ジャン・ジュネ 
構成・演出・美術・照明/こしば きこう
音響オペレーター/平澤朋美・李ゆうか
協力/乙川千夏・chigusa
劇場名/札幌・中央区・シアターZOO

潜在意識の強烈な発散
大家の奥様(=平澤朋美)に仕える二人の家政婦の物語。二人は仲がいいとは
必ずしも言えないが、奥様には連帯するほどの強い敵意を持っている。
奥様の外出時、帰宅の予定時間を目覚時計にセットして二人が交代に奥様の役
を演じて日頃の思いをぶつけ、ついには奥様を殺害する予行演習にまでエスカ
レートする。
帰宅する奥様、何事もなかったように振る舞う二人の女中……だが、奥様が女
中の陷計で囚われた主人の解放現場へいくことになって、その陷計の秘密を知
られたくないために大混乱となる。
二人の女中はもちろん、この奥様も自分本位で自己主張の強い人間たちである。
その潜在性格をものすごい早口で、うっかりすると何を言ったのかわからない
くらしのスピードで言い合いを続ける。
相互不信のもっとも基本的なありようが強者と弱者の対立という基本の中で象
徴的に描かれた。
『風蝕異人街』としては珍しい洪水のように迸って心情を噴出する口語文体の
台詞で異色の舞台であった。