演目 夜明け前
観劇日時/10.8.30.
劇団名/苗穂聖ロイヤル歌劇団
公演回数/第6回公演
作・演出/川尻恵太 プロデューサー/前田ゆりか
舞台監督/上田知 照明/和田研一 演出部/竹原圭二
Sound Design/Lynn 主題歌/あらいふとし
衣裳/高橋綾香・櫻田悠水 ヘアメイク/林秀美・高橋綾香
フライヤデザイン/山田まさる 音響オペ/森みゆき
フライヤ写真撮影/奥山奈々 女子マネジャー/富樫佐知子
企画・制作/札幌演劇人育成委員会
劇場名/札幌・演劇専用小劇場・BLOCH

懐旧談に虚しい笑いを求める若者たち
もう若くはない売れない文筆家(=江田由紀浩)、夢多かった高校生の時代を
思い出している。そのころの仲間たち、恋をした相手の同級生の女子……
それらのエピソードが当時の人物や何年後かの同じ人物、そして現在のその人
たちが時代を超えて絡んで描かれる。例えば彼の高校生時代は川尻恵太が演じ
て現在の彼と絡む。
ほとんどが挫折しているか呻吟している。本人自身も世に出る前には考えられ
なかった境遇に悔いの念も強い。
今まで生きた人々の交友関係をその時代時代の一瞬を切り取ってギャグ調に表
現するのだが、基本的に青春悔悟の懺悔話だから、演劇的には人間関係の葛藤
がなく、自虐ギャグがほとんどで、それは今、流行のお笑いコントの集積みた
いなものだが、若い観客には大受けで爆笑・哄笑が続く。
狭いBLOCHの客席に超満員の彼らは、何を求めているのか?一瞬の表面的
な笑いがすべてなのか?確かに噛み合わない会話のニヒリズムには、ちょっと
別役実的アイロニィも感じられるが、基本が懐旧譚なので響くものが薄い。虚
しい思いの残った2時間であった。
他の出演者、藤谷真由美・太田真介・笠原里佳・川井J@ウ輔・小林エレキ・
庄本緑子・ツルオカ・山田マサル。
このような錚々たる出演者を揃えたのに、なんとも薄味の舞台であったことが
残念であった。