演目 ココのダンス
観劇日時/10.8.29.
劇団名/ふれあいの家×co.山田うん
振付・構成・演出/山田うん 振付助手/伊藤知奈美
照明/宮田哲自 舞台/菊地清大 
アートマネジャー/万代いづみ
制作/NPO法人深川市舞台芸術交流協会
劇場名/深川市文化交流ホールみ・らい

ダンスって何だろう?
知的障害者の通所施設「ふれあいの家」で働く知的障害者が大勢出演するダン
ス・パフォーマンスである。利用者とその指導員の合計34名が参加している。
その中には5歳くらいの子どもも何人かいる。
70過ぎの高齢者で腰が90度近く曲がっている人もいる。そういう人たちが、
ぎこちなく一心に踊っている。当然巧くなんて踊れない。山田うんの動きを懸
命に真似ている。
山田うんは一人一人と対面して感情を高揚させようとしている。それはダンス
を綺麗に見せようという意識ではない。
リズムに乗って身体を動かしているだけかもしれない。山田うんは流石に素晴
らしい動きを魅せる。彼らは必死にその真似をしようとする。
そこにはおそらく物語としての意味はない。あるのは気持ちよく身体を動かし
て血液の流れをスムーズにしようとしている本能的で動物的な蠕動があるだけ
のような気もする。
だが逆にそれが命の根源のような気高いような感じがする。僕は突然涙が溢れ
た。いままでたくさんのダンスを観た。モダンだったり暗黒舞踏だったり最近
ではコンテンポラリイが多いが、ダンスに意味を求めていた僕はダンスを観て
泣いたことはない。
感動して高揚したことは何度かある。だが今日の涙はもっと根本的な命の躍動
のようなものに僕の琴線が触れたような感じであった。ダンスって何だろう?
ってつくづく思った。そして僕にもこんな感情があったということに、少なか
らず感動してしまった。
「ココ」とは、私がいて貴方がいる「個々」であり、始まる「此処」であるそ
うだ。