演目 サンタめん
観劇日時/10.8.21. & 10.8.25.
劇団名/札幌ハムプロジェクト
公演形態/skc☆ワゴン1台で全国30カ所公演
脚本・演出/すがの公
劇場名/札幌中央区・ATTIC  旭川・シアターコア

幸い探しの全国放浪
北海道を去らざるを得なかった父親(=すがの公)と姉(=天野さおり)弟
(=大原慧)の一家。3人は全国を旅周りする怪しい見せ物一座であり、その
一座は、いかにもチープで田舎っぽい、だから郷愁とレトロ感もある見世物な
のだが出し物が少なすぎるのが残念だ。
特に冒頭の人形芝居による荒唐無稽な北海道離脱の経緯を説明するくだりは、
面白いだけにもっと極端な表現が欲しかった。前半の人形が後半で突然大きく
なるのだが、前半部分の人形が小さすぎるのでその差のインパクトが小さい。
前半部分を後半部分の大きさにして後半部分はもっと巨大にした方がナンセン
スな可笑しみも大きいだろうと思う。
ある街で知能の低い高校生(=彦素由幸)と知り合い、幸薄い彼の希望で一座
に合流する。そして、やがて高校生の父親は町の町長であることが判明し彼は
実家に戻る。この高校生は徹底して障害者であるが、これは『FICTION』
や『どくんご』とも共通するテーマであろうか。
一座は、居なくなった父親の連れ合いであり姉弟にとっての母親を探す流浪の
旅を続ける。このシーン、旭川公演ではカットされていたけれども、何故とい
う疑問が残った。
『サンタ・シリーズ』の前3作に比べて今回は、家族の絆を強調する場面が少
ないように思う。それに高校生との別れから実母探しへと変わる必然性が希薄
のような気もする。
全国巡演流浪の旅公演という現実とリンクした設定なのかもしれない。だが、
創作のきっかけや流浪の旅公演という環境は、舞台の成果にとってあまり問題
ではないと思う。
そんな怪しい雰囲気がレトロな感覚を刺激するのだが、見せ物のレパートリィ
をもっと徹底して出し物ももっとたくさんあった方が大いに雰囲気も出て良か
ったのではないだろうか。「めん」というサブタイトルの意味が判らない。