演目 ウイスキー・ボンボン 恋の馬鹿騒ぎ
観劇日時/10.7.3.
劇団名/劇団 怪獣無法地帯
公演形態/シアターZOO演劇祭「ZOO10」参加作品
原作/ウイリアム・シェイクスピア
潤色・演出/棚田満 音響操作/若林宗由 照明/相馬寛之
舞台美術/FUKUDA舞台 制作/要害里奈
劇場名/シアターZOO

青春学園物語
高校の川柳部(=塚本雄介・渡邉ヨシヒロ・吉川直毅)というのも余り聞かな
い不思議な部活だが、ある男子高校と対立する女子高校の川柳部(=屋木志津
子・金子綾香・新井田琴江)の対決とそれぞれの3人の部員たちの恋とそのも
つれの成り行きが描かれる。
話は単純だ。顧問の化学の先生(=ナガムツ)が作った惚れ薬を間違って飲んだ
ために起こる相手違い事件の騒動である。
あり得ないことを、あれば面白いなあという設定で展開したいわば荒唐無稽の
話だが、おとぎ話だから笑って気楽に観て楽しむバカバカしさがこの手の舞台
の取り得である。
その意味ではとても巧く創られていて何となく騙されて笑っている。観客も素
直にとけ込んでいる。いいオヤジやオバサンが高校生の制服を着て騒いでいる
のも何となく楽しいのだ。野暮なことは言わずに笑い飛ばそうよという熱気が
伝わる「怪獣無法地帯」の魅力である。
ウエイトレスの伊藤しょうこが物語に関係なく出てきて突拍子もなく仕切るの
が面白さを突出させる。伊藤しょうこは作者として「珊瑚の指」のような佳作
を創るかと思うと、このような不思議なキャラクターを演じて魅力的な存在を
示す。
化学の先生は祖母がイタコであったという設定で、緊急の場面で降霊の術を行
うのだが、彼女が祖母の亡霊を演じると、これまた不思議で奇妙な存在感を示
すのだ。
同じような設定の劇でも、この人たちが演じると全く違和感がないのが力量の
格差というのであろうか? 全体に楽しめたのであった。