演目 リトルセブンの冒険
観劇日時/10.6.20.
劇団名/Bee Hive
公演回数/始動
原作/中島かずき 演出/城谷歩 デザイン/shizuku
舞台監督/浦本英輝 照明/上村範康 音響/井嶋麻紀子
劇場名/札幌・東区・やまびこ座

中島かずきの世界
白雪姫のお話のその後である。姫と王子様は幸せになったのだが、その後の7
人の小人たちはどうなったんだろうという話である。実はこの小人たちは人間
社会と交わってはいけない森の中の神秘な人種であったのだというお話。
たまたま可哀想な姫に同情して助けてしまったが、そのために姫の継母に恨ま
れるし、7人のエゴが露わになる。
森の人といえども、この世の人たちと同じように様々な個性が強く、必ずしも
一致協力してことに当たった訳でもない。それぞれの思惑も大いにあったよう
だ。
その後バラバラになった7人に対して宮廷では姫の影響を断ち切るべき攻勢を
かける。
その攻防が、めまぐるしく演じられる。一方小人側も一枚岩ではない。それぞ
れがエゴを剥きだして敵味方入り乱れるのだが。このへんの展開は虚無感を強
烈に表現する中島かずきの本の面白さでありレアリテイでもある。
姫の継母とそれを利用する権力の一統、姫の本当の姿としてのレッドローズと
いう次代の新しい姫、彼女も最初は7人の敵なのか味方なのか不明だ。
混乱の果てが収拾不能になったかに見えたとき、姫が7人に託した秘密の剣に
よって権力側は一旦、鏡の世界に収斂される。7人は新しい世界に向かって旅
立ちを予感する。中島世界とはちょっと違ったラストシーンだ。
演出・演技は、先を急ぎすぎて物語の展開が説明不足になる。こういう芝居は
はっきりとした展開が重要だ。
いま一つは予算の問題もあるのだが舞台装置がちゃっちい。井上歌舞伎の最大
の魅力は、ニヒルな物語を膨大な舞台装置ですばらしい幻想を事実と思いこま
せるテクニックにあると思う。そんな世界を現出させ得ない舞台は痩せ細って
いて嘘っぽい。
出演は、ロッドローズに扮した「シンデレラ」=安藤笑里
マン=ITI サタ=阿部一希 リキッド=能登屋南奈
サン=小石川慶裕 フライ=梅津学 サース=竹原圭一
フレイム=羽崎真央  ミラード伯爵=太田真介 リフレク男爵=桜間礼士
グラッシー伯爵=日高和泰 
クリスタニア女王=三富香菜 
コンパクト=古田梨恵