演目 もくもくのいとま
観劇日時/10.5.22.
劇団名/WATER 33-39
公演形態/シアターZOO提携公演
作・演出/清水友陽 照明プラン/清水洋和 
美術/中川有子 衣裳/高石有紀 
フライヤー写真撮影/笹木草蒔 映像撮影/高田昌和
制作/岩田知佳 プロデューサー/梶原芙美子
劇場名/シアターZOO

限定世界で生の根源をシミュレーションする
タイトルの『もくもくのいとま』とはどういう意味であろうか? 様々な想像が
出来るとも言えるし、意味不明とも言える。黙々とひと時ひと時を過ごすとい
うことだろうか?
舞台は、北の地方にある架空の小さな島に男女8人の人が住んでいて平凡に暮
らしている。そこへ一人の女(=中塚有里)が突然降って来る。ここまでの話
は、この5月の初旬に北海学園大学・演劇研究会が上演した『大きな島の木の
下で』に酷似しているが、発表時期がほとんど同時だから、もちろんどちらか
が盗作したとか真似をしたとかは考えられない。
やがて女は島のレストランの主人(=小林テルヲ)と一緒に暮らす。『大きな
島の木の下で』が、パラダイスにも現世と同じように様々な苦悩があるという
一種の現世肯定の物語であったのだが、この舞台は少し違う。
生命を保つ根源としての「食」と「性」、そして「衣」と「住」というものの
在り方を、限定された条件の中で実験的に演じてみせる。
「食」では、この小さな島に似合ったような、まるで家庭の食卓のような小さ
なレストランで、ささやかな食事が提供され、「性」ではあからさまな欲求が
即物的に交流される。
そして「住」と「衣」では、雪と氷に閉ざされた小空間で夏と冬とが単調に繰
り返される。そこへ降って来る女は客観の視点を持たせるのだが、いつの間に
か島の人たちと混在して行き、最後に天の上に駆け上って去るという一種の神
話的結末であった。
島の人たちは、赤坂嘉謙・高石有紀・久々湊恵美・清水友陽・佐井川淳子・
畑山洋子・高橋正樹。