演目 Let It Be
観劇日時/20.5.2.
劇団名/北海学園大学・演劇研究会
上演形態/春の特別公演
脚本・演出/米澤春花 音響/石田真美 照明/平賀友美
制作/松川将也・吉田翔
劇場名/BLOCK

性善説の敗北
地上と天界との中間にある孤島。そこに住む人達とは地上で何らかの罪を犯し
た人達であるらしい。そこへ生態調査に訪れた二人の男女。
この住民は、罪により海底の泡となるべき人たちだが、許されてその一刻をこ
こで生きている。だがそんな環境でありながら、極端に善良な人達である。
そこへここの住民を、ついに海底の泡にするべき使命を帯びた調査員の二人組
が来る。
これらが入り乱れて混乱する。絶叫する台詞が聞きづらいのと、変化する心境
の描写が荒っぽいので、物語の展開が判りづらい。
すべての人達の思いの根底が性善説に基づいているのが頼りない。しかもそこ
に至る葛藤が見えにくく、思いと行動が突飛に見えて、付いていくのが大変だ。
設定と展開は面白いのだが、もっと丁寧に創らないと自己満足の世界になって
しまう。それが若さなのかもしれないのだが……
抽象的で単純なキャラクターを多出させて物語を複雑化させる意図は感じられ
るのだが、逆にそれが分りづらくして面白みを減少させていると思わざるを得
ないのだ。それが若さなのだろうが前作と同じ欠陥だと思う。もっと具体的な
生きている人間像を描くべきだと思われる。
前作と同じ作者で演出家なのだが、まるで双子のような作品である。似たよう
な設定で似たような展開であり、従って感想も同じようになる。
出演者、和泉諒・今井智瑛・松本智弘・牧野千里・松川将也・山ア友里恵・
南紗樹・新妻杏美・小池瑠莉・本間瑞貴・北村樹・渡辺智之。