演目 大きな島の木の下で
観劇日時/20.5.2.
劇団名/北海学園大学・演劇研究会
上演形態/春の特別公演
脚本・演出/米澤春花 音響/石田真美 照明/平賀友美
制作/松川将也・吉田翔
劇場名/BLOCK

ユートピァ・コミューンか被排徐者の捨て場か
この世とあの世の中間にあるらしい架空の孤島。あるときこの浜辺に一人の少
女が降ってくる。この島の住人たちは一風変わっては居るが親切な人達だ。
最初、この島は一種のパラダイス・コミュニテイであるかのように思わせて、
実はこの世で生きる資格がないと判断された無用の人物たちが捨てられた吹き
溜まりのような場所であることが判明する。
新しく加わった人達は、それを知ると俄然勇気を出してこの世に帰還するべく
動き出す。
一応そういう物語だと思うが、素直な展開じゃなく、狭雑物というか脇筋も多
く、それが分りづらいので観る方の思いを混乱させたのかもしれない。それが
別の感慨を作り出す作用をしたのなら良いのだが、そうはならなかった。
この世界にも現世と同じように、さまざまな葛藤があってパラダイスであると
同時に、現世と同様に悩みや苦しみや差別が存在するという哲理を判りやすく
描き出す。
こういう単純というか素直というか若々しいというかその着眼点は気持ちが良
くその姿勢は好ましいと思うのだが、もっと端的に素直に表現した方が一段と
良くなっていたであろうと思う。回りくどく、枝葉を付け過ぎたのが逆に面白
みを減らし物語を晦渋にした。
もう50年以上も前に僕らも愛唱した「大きな栗の木の下で」というわらべ歌が
主題歌として使われていて、何とも懐かしく聞いたのだが、なるほど、この歌
詞は一種のパラダイス・コミューンの歌かもしれない。
出演者は、隅田健太郎・斉藤詩帆・柿本紗絵子・津川真大・山口大輝・
西垣貴将・千葉幸恵・早坂友里・吉田翔・所竜之介・羽崎真央・本間翔太。