演目/CANDIES   girlish hardcore

観劇日時/10.3.20.
劇団名/指輪ホテル
作・演出/羊屋白玉 美術/坂田有希子 衣裳/飯島まゆみ 音楽/樅山智子・舩橋陽 音響/木下真紀 照明/アイカワマサアキ 舞台監督/糸山義則
写真記録/畑瀬邦彦 ビデオ記録/岩泉雄士・山田マサル 制作/糸山裕子・壁村真理・王丸あすか
出演/北村あらた・酒井由貴・角田真奈美・原田有貴・村田朋未 声の出演/石垣和枝・田中亜矢・芹沢花
劇場名/札幌・琴似・コンカリーニョ

おんなの一生、奇妙な魅力

 
5人の女、ナレーション、音楽そして女たちのかけ声や返答などだけの群舞というか身体パフォーマンスというかそんな1時間半。
 ナレーションは最初、5・6歳くらいの子供の声で妹が急な重病であっけなく死んだことを淡々と朗読する。やがて8・9歳くらいの女の子の声で子供時代の日常生活を朗読する。
 5人の女たちは、そのナレーションに合わせてか関係なくかそれぞれに動き回る。やがて大人になったと思われる彼女たちは様々な動物の被りものを着けて様々な動きを踊り回るというか動き回る。
 やがて誰かが死ぬ。80歳だ。だがこれは一人の女性の一生ではないらしい。その辺は曖昧模糊としている。だがそのとき一人が持ってきたソフトクリームのカップコーンを舞台に並べたとき、それは墓標に見えた。だがそれは各自が動物の被りものの額に着けたとき、動物たちは犀になる。犀は直進の象徴らしい。
 このように全体は何かを言いたげであるが、それは何なのかは判然としない。そこが一種の奇妙な魅力なのだ。
 最後にコーラスのナレーションが「どのみち二つに一つだから私はいる方にかけた。いるんだよ」と延々と繰り返す。この「いる」とは「居る」のか「要る」なのか? どっちでもいいような言葉だが、この舞台全体がこの「居る」でもあり「要る」でもあるようだ。
 不思議な舞台であり異常な魅力に引きつけられるが、またいろんなアレゴリーが考えられる。そのときはそういうことをいちいち考えていたのだが、いま観終わって細かなデテールは思い出せないくらい印象が薄い。いったいこれは何なんだろうと思う。
 一つ覚えているのは後ろ姿の裸女が舞台上に置かれた電気フライパンに排泄行為をし、それを焼いて二人で食べるシーンだ。もちろん多分ビニール袋に隠したホットケーキの粉を絞り出したのだろうが、これは食物連鎖や命の連綿を象徴したシーンであろうと思われる。
 アフタートークで作・演出の羊屋白玉さんが、この作品を「演劇」であると何度も言っていたが、僕の思う「演劇」とはかなりの径庭がある。だがこれが演劇でないとしても不思議な魅力は消えない。
同じく若い女性の裸身が頻出するのでエロっぽい魅力があるのかとも言っていたが、悪いが5人とも魅力的な裸身ではない。むしろ肥満や痩せすぎ、ゴツゴツとしたり些か醜悪でさえあり僕にはその魅力はなかったのである。