演目/春の夜想曲

観劇日時/10.03.15.
劇団名/TPS
作・演出/斎藤歩 
照明プラン/大野道乃 照明オペ/秋野良太
音響/百瀬俊介 舞台監督/尾崎要 宣伝美術/若林瑞沙
制作/阿部雅子・横山勝俊・新堂猛・堀田淳之輔
ディレクター/斎藤歩 プロデューサー/平田修二
企画制作/北海道演劇財団
劇場名/シアターZOO

チェロと春の夜

 
何度も観たこの芝居、いつもチェロ(=土田英順)は、憂愁とある微かな期待とを含んだ春の夜の雰囲気にマッチした楽器だと思っていた。
 今日も観ていてその感が深かったのだが、チェロ・ソロになって何だかフト物足りなさを感じた。そうなのだ、この感じはピアノ伴奏(=伊藤珠貴)があって初めて完成する曲想なのだった。
 東京から姪(=宮田圭子)を連れに来た病身で死に直面するかもしれない叔母(=金沢碧)は、北海道の暖かさとホテルの支配人(=斎藤歩)の家族の、仕事を離れた誠心誠意とにほだされて逆に姪との絆の強さを掴んで帰京の決心をする。
支配人の父親はチェロ奏者であり姉はピアノ奏者であり、この三人の家族が叔母と姪の家族に対比する。
中島公園の菖蒲池の小島に、池畔の大ホテルの季節限定の仮設別室が出現したり、そこへ近在の音楽ホール「キタラ」から音楽家を地下道を通って強引に連れ込むとかの、かなり荒唐無稽の設定なのだが、それがいかにも自然に感じられるところが力技なのかもしれない。
 その季節限定のホテル特設の別室での簡素で豪華な一夜、その浴室の窓から見られた亀は何を考えていたのだろうか?
叔母さんの先の短いかもしれない目に亀はどう映ったのか。支配人は何故かタキシードに亀の子たわしの帆前掛け姿であった。
ほかにホテルの従業員として木村洋次・佐藤健一・高子未来らが個性豊かないろどりで出演する。