演目/水の戯れ 3

観劇日時/10.3.13.
劇団名/清水企画 WATER33〜39と20世紀の戯曲
作・演出/清水友陽
劇場名/札幌中央区・雑居ビル4階の一室・ATTIC

演目  どらきら 

理想と現実、生と死
 
昼中生活型になって血を吸うことが出来なくなり、死期を迎えたドラキュラ(=赤坂嘉謙)のところへ死神(=小林テルヲ)が訪れる。
 ドラキュラはエッシャーの無限回流の滝を現実に作ろうとして無駄な努力を重ねている。彼には透明人間の彼女がいて我が子が誕生しかけているので死にきれない。
 なぜか死神はそんなドラキュラに同情する。こういう一見バカバカしい短い寓話だけどもとても面白い。ドラキュラと死神、透明人間の女は当然見えないが、そのキャラクターの着想がユニークで良い。ただし透明人間との絡みがやや不自然なのがマイナス。もっと面白く表現出来そうだ。
 この壮大なテーマを短編でまるで落語のように面白く創った手腕に賛成する。

演目  小っちゃくて、大っきいの。
 
おそらく佐藤(=高橋正樹)という男の妄想であろうか?たぶん彼の心の中にいる、夢を食うという獏(=久々湊恵美)、その獏へ夢を売りにくる夢屋(=高石有紀)、彼のところへ届けられる猫と思われる小動物(=中塚有理)。
 それらを通して佐藤の非生産的な妄想はどんどん広がる。
膨らんだり収縮したりする彼の妄想は彼にとっていったい何であるのか? 一人の男のある日の頭の中が垣間見えるような抽象劇で、小動物の配達人(=赤坂嘉謙・小林テルヲ)の二人がコメディリリーフとして男の頭の中をかき回す。
 
 二編とも旧作であるが、機知に溢れた秀作であった。