演目/カガクするココロ 北限の猿

観劇日時/10.1.8.
劇団名/青年団
作・演出/平田オリザ 舞台美術/濱崎賢二 
舞台美術監修/杉山至 照明/岩城保 
演出助手/相馬加奈子 
宣伝美術/工藤規雄+村上和子・太田裕子 
宣伝写真/佐藤孝仁 宣伝美術・スタイリスト/山口友里
制作/木元太郎
劇場名/東京・こまばアゴラ劇場

内なるエネルギー

 
登場人物それぞれの心の内部にあるマグマは舞台では噴出しない。だからいわゆる人間対人間の葛藤から生まれるドラマが展開しない。だがそこには舞台に現れるドラマ以上に感じられるそれぞれの心の内部に混沌とする様々なドラマの種が潜んでいるのが窺われる。
 これが平田オリザの「静かなる演劇」だと思う。この二つのそれぞれ独立した二編の戯曲は、微妙に前後編をなしているようにも見える。
 タイトルは話の内容をそれほど表しているとは思えない。いってみればその場の群衆の雰囲気とでもいうようなネーミングであろうか。そしてそこが平田戯曲の真骨頂なのであろう。しかも「カガク」と「ココロ」をあえて平仮名表記にしたこと、「北限の猿」は研究の直接対象ではないというところに、作者の斜めに見た人物たちの心情がみてとれる。
舞台はある大学で創られたあるプロジェクトの教授の元に集まった人たちの控え室での雑談だけである。
 出演者「カガクするココロ」では研究員・大学院生(=兵藤公美、工藤倫子・川村倫子・河村竜也・村田牧子・山本雅幸・梅津忠・村井まどか)。大学生(=荻野友里・鄭亜美・堀夏子・桜町元)。高校生(=小林亮子・木引優子)。
セールスマン(=二反田幸平)。事務員(=佐山和泉)。ロックンローラー(=安倍健太郎)。
「北限の猿」で増えたのは研究員・大学院生(=後藤麻美)。大学生(=中村真生)。事務員(=山本裕子)。そのほか各役で配役の移動などがあるが、大人数の群集劇である。