演目/蟹と無言歌

観劇日時/09.11.29.
劇団名/TPS+劇団・青羽(チョンウ 韓国=ソウル)
劇場名/旭川・シアターコア 
その他のデータは札幌と同じ

親善が何処へ行く?

 
「そこはオホーツク、もうアジアの縁(ヘリ)だよ」というのがキーワードであるようだ。これは一見、「ヘリに囲まれた中の二つの国の親善」を強調しているようだが、僕は「大東亜共栄圏」の悪夢を思い出していた。
それは東南アジアの共存共栄を唱えて実は、日本がアジアを統一してその盟主になろうとする陰謀とされた。もちろん、今日のこの芝居がそういうテーマであるとは金輪際あり得ないが、ふと、そういう悪夢を思い出してしまったのだ。
そしてもう一つ、朝日新聞09年12月1日のコラム「ひと」欄に、長崎県對馬在住の永留久恵氏(89歳)が紹介されていた。それによると「中央から見れば、對馬は辺境の島。が、對馬から周りを眺めれば、『むしろ先進地だった中国に近い。東西南北の文化の通り道であり、交流の十字路だった。』」と語り『對馬国志』を完成させた、という紹介記事である。逆からみれば、辺境の島の存在意義とその苦悩もただものではない。
オホーツクはそういう地理的位置にあったのではなかろうか? なかったとしても「縁(へり)」と言い切ってしまって良いのだろうか? と思わざるを得ないのだ。
さて話を変えて演技について。木村洋次の台詞が猛烈に滑ってまるで素人のようだったが、もしこれが受けを狙った技法だとしたら、余りにも観客を愚弄した悪手であろう。白けて眺めていた。


 11月の舞台から 

いろいろ                  F.A-muse
高校生離れのした完成度の高い舞台

鴈作者                    千年王國
マイノリテーというか、社会から排除される人の強さ

声嗄れカラス             エビバイバイ
物語至上主義を脱出する肉体演劇