演目/ヘッタ・ガーブレルの死

観劇日時/09.11.14.
劇団名/TUC
上演形態/ヘンリック・コンプレックス
原作/ヘンリック・イプセン
構成・演出/高橋千尋 アートディレクター/冨田哲司
照明/本房義信 衣裳/斎藤もと 制作/能代みゆき
協力/有田桐
劇場名/札幌・中央区・BLOCH

ダイジエスト版のイプセン

 
軽率な結婚に失望した誇り高い将軍の娘(=高橋千尋)は、同じ境遇の年下の女(=斎藤もと)を利用して自由を得ようとするが、失敗して自殺するまでの屈折した嫉妬と挫折の顛末を描く。
だが、あまりにもテキストをカットし過ぎ、また人物も少なくしたために、人間関係が分かりにくくなり、話の展開が不自然というか、展開する理由が分かりにくくなっている。
 著名な作品だから観客はあらかじめ話の内容は了解すみだと言うのならまるでダイジエスト版で、それなら解説書を読んだ方がましだ。
 演劇は、生身の登場人物が目の前で葛藤する現場に立ち会うことで魅せるものだ。解説じゃないのだ。せっかく、連続してイプセンを演じるという良い企画なのだから、カットするならばよほど構成をしっかりとするか、あるいはカットなしで演じなければ存在理由がない。
ブラック判事とレェーヴボルクを二役で甲斐大輔が演じるが、ほとんど解説役だ。