演 目
腐 食
観劇日時/09.7.29.
劇団名/Theater・ラグ・203
作・演出/村松幹男 音楽/今井大蛇丸
音響オペレーター/吉田志帆
照明オペレーター/瀬戸睦代
宣伝美術/久保田さゆり
前座芝居『まあ、座りたまえ』
出演/部長=村松幹男 神山=井向和宏
劇場名/ラグリグラ劇場

柳川友希の進歩

 この一人芝居の出演者=柳川友希は今回、丸刈りの頭で出てきた。照明が入ると浮かび上がる独房の死刑囚が、黒い上下の囚人服に丸刈りのスタイルで相当な迫力とリアリティがある。
柳川は口跡も良く、メリハリも効いてこの男の存在感をよく表現していたと思う。千秋楽に相応しい力演であった。
ときどき大事な単語が滑って意味が判らなくなる欠点があるけれども全体に大きな影響を及ぼすほどのことではないと思われる。今後の課題であろうか。
冒頭の教誨師との対話が、今回はほとんど座ったままで行われて、僕としてはいささか不満であったが、入魂の演技はそういう不満を吹き飛ばす勢いがあったことも認めざるを得ないほどであったのだ。
ラストの、「俺は許される……(長い空白があって)だろうか?」と振り返って問いかける台詞に、また粛然とならざるを得ない重さがある。