演 目
水そこ花火
観劇日時/09.7.10.
劇団名/ユニット電気ウサギ
公演回数/#4
脚本・照明/大橋榛名 演出/手代木啓史
舞台監督/上田知 舞台美術/高村由紀子
音響/橋本一生 衣裳/矢野あい 写真/北山千尋
小道具/segyar@ラバ・中川有子 イラスト/yama-me
制作/大門奈央子・平間夕貴・高平幸恵・きりたかおる・橋本奈於
スーパーバイザー/アキヨ  劇場名/コンカリーニョ

耽美的な幻想虚無劇

 海の底をイメージするような舞台装置。おそらく新聞紙をシュレッダーに掛けてステージ一面に敷き詰めて海底を現し、そこの一部にカウンターを裏側から見た形でスナック・バーが造られている。
 海の底のバーという設定であろう。酒場の女が4人(=榮田佳子・山ア美世・寺元綾乃・坂本祐以)、すべてママ(=加藤健)が連れてきた女たち、まるで4月に東京で観た、『ベリー・メリーゴーランド』の、竜宮城の話に良く似ている。
 この芝居の女たちも、『ベリー・メリーゴーランド』の、連れられて来た死者たちと同じように、現世で何か曰くがあってここへ来たような女たちで、それぞれ癖が強い人たちばかりだ。しかも海底というのだから、おそらく彼女たちも亡者なのであろう。
 彼女たちは何かを求めているようにも見える。おそらくそれは愛なのであろう。だが現実には、その愛の対象は現れない。お互いの話の中にしか出てこない。唯一目の前にするのは、ネコと呼ばれる少年のような男の子(=山下カーリー)だけである。
 最後に一人ずつ4人は順に自死していく。そういう虚無の結末を、自慰的に感傷的に美しく描き出す世界だ。
 海の精のような二人の妖精(=佐藤素子・長岡登美子)が、彼らに着かず離れず物語を茶化すようにフォローしていくのが、コメデータッチで批判的に描かれているのが物語を客観視していて救われる。