演 目
リストラガールズ
観劇日時/09.6.28.
劇団名/Massive 4tsp.
公演形態/シアターZOO演劇祭参加作品
作・演出/すだけいた 
演劇祭共通スタッフ
照明統括/相馬寛之 照明/稲田桂 
舞台美術/FUKUDA舞台
プロデユーサー/弦巻啓太
制作/演劇祭実行委員会
劇場名/シアターZOO

リアリティに欠くシチュエーション・コメディ

 在札の7劇団が弦巻啓太のプロデュースで、ZOO演劇祭というのを行った。弦巻啓太の案で、参加劇団が全て一つの舞台装置を使い回すという条件で演じられたが、その舞台装置とは、ある中堅どころの温泉旅館の一室である。それぞれの劇団が、同じ舞台装置を使ってそれぞれの物語を醸し出すという趣向だ。
創作には、ある一定の制約があった方が創り易いという傾向もあるようで面白い企画だと思う。僕は事情があって最後の一編だけしか観ることが出来なかったのはいささか残念であったが……
さて、その中堅どころの温泉旅館の一室。アパレル関係の若い女性が二人、店長と部下が一泊で遊びに来ている。ところがこの二人、いい加減な人物で互いに互いを頼って一文無しだったのだ。
何とか恥をかかずに上手く脱出しようとして右往左往する間抜けさ加減を描く一種のシチュエーション・コメディを目指しているようだ。
さらに知人一人が加わり、それも無一文。上司に当たる二人連れを何とか取り込もうとするが、そうは上手くいかない、という騒動の始末記。
設定としては面白いのだけども、かなり無理があって白ける。例えば携帯電話が電池切れで通じないというが、どちらかが一旦帰って工面すれば簡単に解決するわけで、それをしないのは不自然だし、フアッション・コンクールに応募して賞金稼ぎというのも唐突でご都合主義でリアリティが全くないから入り込めない。
僕が観られなかった後の6編は、聞くところによると、中々面白かったよと、全く別々の二人の人に聞いたので、少々残念であったが、第一、最近、芝居の数が多すぎて追いつかないと悲鳴を挙げている。良いものを見逃す確率も高いのだ。


■■6月の舞台■■ 

『僕たちの好きだった革命』「KOKAMI@network」を挙げたいが、今月は秀作が多く、これは再演だから惜しいけど除外せざるを得ない。

☆ 空の記憶         座・れら
鈴木喜三夫さんたちの執念のようなものを感じる、忘れてはいけない、時代の貴重な作品である。

☆ 薔薇十字団     劇工舎ルート
この芝居も、別な意味での時代を象徴する作品である。

☆ プーチンの落日     イナダ組
イナダ組としては珍しく、しっとりと老いの悲哀を描いた小品だが、印象深い。