演 目
狂 言
観劇日時/09.6.24.
劇団名/ 茂山千五郎家
主催者/旭川市民劇場6月例会
劇場名/旭川公会堂
出演者/茂山千三郎・茂山七五三・松本豊・島田洋海・
茂山千五郎・茂山逸平・茂山正邦((出演順)

現代に生きる狂言とは

 狂言は喜劇であり、喜劇とは矛盾や不条理を俎上に上げて笑い飛ばすことにある。
第一話『二九十八』は、妻を求める祈願をして、やっと女性に巡りあえたと思ったら、それがとんでもない醜女であったので逃げて去った男の話。女性が醜く生まれたのは己の意思ではない。だが観客はこの女性を見て大笑いをし男に共感する、この不条理。これは観客の意識自体が不条理の存在なのである。
第二話『素襖落し』は、従者が権威者に取り入って酒を馳走になり酔っ払ってさんざん言いたい放題。痛快だが、しょせん酒の力の限界に終わる。自分の意思以外の力を借りて自己主張をしても醒めたら形勢逆転の存在でしかなかったという不条理。
第三話『蝸牛』は、人の言葉を丸呑みにした半可通の男の失敗話。本人にとっては不条理だろうが、観客はこの男を笑えるのか? という問い掛け。
いずれも300年という年月に鍛えられた流麗な様式美の感じられる舞台ではあるが、話の中身のインパクトが弱く、現代に生きるには力不足の感は否めない。
最近コメディアンたちが、古典を基本に現代狂言に挑んでいる動きがあるそうだ。その舞台に接する機会が近々にあるので楽しみにしている。