演 目
けらら姫と大食い象のガジヤ
観劇日時/09.6.17.
劇団名/人形一座ホケキョ影絵芝居
作・演出・出演・音響と照明操作/晴琉屋フン 
音曲/せせら小梅
主催/深川おやこ劇場6月例会
劇場名/深川市・アートホール東洲館ギャラリイ

演出者の視点を

 インドネシアの伝統影絵芝居に触発されて創られたというたった三人の小さな劇団である。しかも二人は夫婦であり、もう一人はその5歳の女の子であるという、頬笑しい極小集団である。
さて1本目の『金魚地蔵』はナンセンス笑劇と見せて、実は環境汚染についての話であったり、本題の『けらら姫と大食い象のガジヤ』も、同じナンセンス笑劇とみせて、実は反権力の実力闘争劇みたいな一面がある。
そういう意味ではなかなか骨のある作品だが、なにしろたった一人でやっているので、語りの面白さに較べて画面の粗さが目立つ。
人形はかなり精巧に造られているのだが、スクーリンを観たら単に黒い塊が蠢いているようにしか見えない。インドネシアの影絵から学んだということだが、写真などで見るインドネシア各地の影絵は、様々なバリエーションがあるが、そのどれもが、もっともっと美しい。
それに語りは面白く、如何にも大道芸らしい臭みも逆に一種の魅力があるのだが、訴求力に弱さが目立つ。何を言っているのか分らない部分が多いのだ。
これらはいずれも演出者の視点が無いからではないのかと思われる。自己満足に終わらず、折角のユニークな一座はもっともっと大きく活躍して欲しい。
会員の子供達は大笑いを爆発させながら大いに楽しんでいたのは大変に結構であったのだが、笑いを押し付けがましいのが、ちょっと気になる。そのくらいしないと内気な子どもたちは爆発させてくれないのかもしれないが……
ともかく、もっと飛躍して劇場の魅力を大きく育ててほしいと思うのだ。