演 目
アチャコ
観劇日時/09.4.6.
劇団名/ユニット・トラージ
作/北村想 演出/小林正和 舞台監督/中村公彦
照明/花植厚美 照明協力/平野行俊 
歌唱指導/折野純子 衣装協力/山口未知
美術協力/柴田頼克・黒田啓之・松木ひろし 
音響オペレーター/まどか園太夫 音響協力/なおちん 
宣伝協力/森下友理 制作/湧井千恵・岩元里砂 
企画・制作/ユニット・トラージ
劇場名/駒場・アゴラ劇場

タナトスとエロス

 当日パンフに作者は「『死』と『性(生)』、タナトスとエロスの饗宴ということになった(略)」と書いている。
さて、話というより登場人物を紹介する方が分かり易い。まず小説家の大河内伝三郎(=土居辰男)、一番弟子の室岡半兵衛(=渡山博嵩)、二番弟子・木の坂小暮(=空沢しんか)、文芸誌の編集者・神崎茜(=斉藤やよい)、そして弟子志願の樋口葉子(=ジル豆田)。
これだけ見ると大きな期待感が湧き上がる。しかし話は思いがけない方へと突き進む。作家はポルノ作家なのだ。だが彼らはポルノとは言わない。あえて『アダルト』と自称する。そして純文学・大衆文学・ミステリー・バイオレンスそれに分類の方法が違うのを無視して携帯小説などそれらのジャンルから独立してアダルト小説を確立するという夢を語る。
しかしそれは荒唐無稽の設定だ。そのうえ性に関する表現が余りにも過激であからさまなので、やはり白ける。
アチャコというのは我々の世代では戦前から戦後にかけて絶大な人気のあった漫才師のイメージが強いのでそれとの関係がよく分からない。
おそらく前衛的であることと、直接的に効果が出てこない無償の行為であるということであろうか? だが無償の行為とはそのこと自体に存在価値があるのではないのか? 勃起という語句がひとつのキーワードになっているが、確かに何か刺戟的な行為が勃起させることのエロスは正にキーワードではあろうか。