演 目 黄昏はただ銀色 観劇日時/03.3.21. 劇団名/劇団 怪獣無法地帯 公演回数/第9回公演 作・演出/棚田満 照明/稲田桂 音楽/ラバ 音響操作/フレンチ 制作/要害里奈 劇場名/レッドベリースタジオ |
これこそオバカな芝居だが…… 街中の町内会に、傭兵の秘密組織がある。彼らは外国で戦争状態にある国の代理戦争を買って殺し合いをやっている。 この狭い、劇場ともいえないような一室の観客の目の前で、身体を張って全力投球の過激な殺戮戦が繰り返し繰り返し展開される。だが実はだれも死なないのだが、死なないことに無理がなく感じられる。 そこへ何も知らない男(=泉清高)が恋人(=小林サツキ)の両親(=長流三平・伊藤しょうこ)へ求婚の挨拶に訪れてこの殺戮戦に巻き込まれる。実はこの両親もある国の代理傭兵だったのだ。 こういう全く現実無視でありながら、妙に現実の裏面を象徴しているような設定で、バカバカしいのに変なリアリティがあっていささか怖い感じもする。 この過激な設定とむちゃくちゃな展開が、バカバカしさを通り越して可笑しさの裏側の、ある真実を炙り出す仕掛けが面白い。 実はラストにドンデンがあるのだがネタばらしを承知で明かすと、この一件は、町内会全体がこの求婚男の性根を試すために両親に頼まれて打った大芝居であったというわけで、ここでも大笑いするわけだった。 ここで描写された棚田満・作品のアレゴリーの秀逸さと、表現のバカバカしさと可笑しさは、03年3月に「芝居のべんと箱」によって上演された、『マクベスは増殖する』以来であった。僕はあれを観てから熱狂的な棚田フアンになり、同じく協同行動をとる伊藤しょうこ達で作った「怪獣無法地帯」のフアンになっていったのだ。 伊藤しょうこは、『君の肩越しに月を見る』『やがて思い出の歌になっていく』『缶ずめ』『わらう花』など、全く別系統の佳品を創りながら、棚田と互いに協力しているのが、「怪獣無法地帯」の大きな魅力なのだ。 その他の出演者は、豆腐屋夫婦の銃器保管係り(=三戸部大峰・シチュー山本)、殺し屋(=渡邉ヨシヒロ・藤野羽衣子・忠海勇・和田憲幸)、町内の小母さん(=長谷川碧・濱道俊介) そして男の上司(=棚田満)。 |