演 目
愛する人を失うという
  世界共通の悲しみについての物語

観劇日時/09.2.26.
劇団名/劇団 千年王國
公演形態/遊戯祭07最優秀賞受賞記念公演
〜十周年モラトリアム公演〜
作・演出/橋口幸絵 作曲/トリトメトリ 美術/長内香苗
照明/青木美由紀 音響/大江芳樹 衣装/矢野あい
舞台監督/尾崎要 振付/小倉千種
演出助手/遠藤有紀 演出部/鈴木悠平 
衣装進行/徳村あきら 衣装部/松下奈未・アキヨ
イラスト/森迫暁夫 宣伝美術/柴田佳苗
カメラ撮影/原田直樹 映像撮影/織田泰之
美術製作/中川有子・米澤春香・畠中朝香・小室彰子・
妹尾舞・佐々木裕也
劇場名/コンカリーニョ

神話的愛憎劇

 「人間を取り囲む自然や文化を、超自然的存在(神)や英雄などと関連させて説いた説話」(講談社=日本語大辞典)
「宇宙・人間・文化の起源などを超自然的存在の関与の結果として基礎づけ説明した話」(三省堂=大辞林)
「現実の生活とそれをとりまく世界の事物の起源や存在論的な意味を象徴的に説く説話」(岩波書店=広辞苑)
神話というものを、このような意味で考えると、この舞台は一種の神話的な様相を見せる。
近未来の北海道を象徴するような人口太陽の下、氷造りの建築物に暮らす白夜の街の人々。雪の結晶の配列を音符に変換して作曲をする教師・リュトーシュカ(=佐藤素子)。
それを独特の理論で生徒たちに教える場面は、まさに宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』の冒頭部分である「午後の授業」にそっくりで微笑ましい。
そのメロディがある作曲家の音楽とまったく同じだったことからリュトーシュカは、それを最初に創った沖縄を象徴する南島の人々のある一家の長兄・ヒドラ(=梅津学)を、妹・マルカ(=坂本祐以)を連れて訪れる。
ヒドラの弟・ミズタリ(=重堂元樹)とマルカは発展しそうで発展しない……そしてその仲は? 
ヒドラの姉・ユタ(=榮田佳子)は北の街に夫・ヨシフ(=立川佳吾)と住んでいたが、一子を残して実家へ逃げ帰る。
南の人ユーリ(=赤沼政文)はイイラ(=村上水緒)と北の街へ逃避行するが、仲がこじれて舞い戻る。
かように4組のカップルの愛憎関係が、あの雪の結晶のメロディと、ヒドラ家に伝わる一種の古代文字のような家紋としての六角形絵文字を綾にして、さらに南の島の民族的行事の華やかな祭りを背景にして展開される。
最後にはヒドラは自死し、リュトーシュカも遺児を残して後を追う。少年になった遺児(=佐藤素子・二役)を囲む3組のカップルで幕であった。
生演奏は、語り・ボーカル・ケーナ・ギター=福井岳郎
     ボーカル・ピアニカ=さとうしほ・吉田ユウ子
     ピアノ=太田亜紀子・有本紀・福由樹子
     パーカッション=小山内崇貴
福井・小山内以外は日替わり出演



■2月の舞台から■

☆  いろいろ         劇団・西校演劇部
    新鮮なショックを感じた。演じるという意識がないようなのだが、リアリティが強靭だった。
☆ 他人(ひと)の手      Theater・ラグ・203
やっぱり僕の好きな芝居だった。
(上演順)