演 目
いろいろ
観劇日時/09.2.15.
劇団名/劇団 西高演劇部(仮)
公演回数/旗揚げ公演
作・演出/江田由紀浩
監修/納谷真大
舞台/きくちきよひろ 大道具/佐藤自真・藤村健一
音響/吉田圭二郎・遠藤早姫
STAFF/橋本駿平・橋本帆渚美・山谷留華・橋本光季
      深津好絵・知久彩七恵・万代菜月・川岸緋月
劇場名/深川市文化交流ホール「み☆らい」

等身大の女子高生

 深川西高校生女子6人が学外で劇団を創った。その第一回公演である。なぜ学外なのか、学校の内部で部活としてなぜ活動できなかったのかという問題と、それを支援したNPO法人「深川市舞台芸術交流協会」の全面的協力という功績があるが、それは今、問題とせず、芝居の中味だけを検証することにする。詳しくは前号第23号の後記に報告済みです。
中学時代の親友5人がそれぞれの高校へ進学するが、ときどき集まって近況報告会のような集まりを持って交遊を深めている。
ある日、セイラームーンになりたかったミドリ(=内田みさと)が一人で妄想しているところへ、活発なアオイ(=深津尚未)が来る、今日は5人が集まる日だ。
やがて静かで知的なアカネ(=万代美月)が来るが、いつも一緒だった可憐なモモが来ない。アカネは、彼女は男と会っているんだろうと言う。
そしてマイペースで天然のルリ(=中嶋彩華)が、兄が変な宗教に嵌って壷を託されたと言いながら、その小さな壷を持って来る。この壷は後半で重要な役割を演じる。
2時間遅れでモモ(=金野彩佳)が来るが、当然4人はモモの話題に集中する。結果はハッピィエンドに終わるが、次の二つのことを感じた。
一つは、専門家が指導したことによって一定の舞台効果を創りだしたこと。スポーツだって指導者が優れていれば強くなる。5人の個性が良く強く表現されていて、等身大の女子高校生の存在感が印象的であった。
もう一つは、でもこの物語がほんとうに現実の彼女たちの等身大の物語なのだろうか? という疑問だ。彼女たちの日常から生まれ出た話なのだろうか? という不審だ。
いかにもそういうような造りだが、話題になるトピックがいささか古いような気がする。トピックが古くても心境が合っていれば問題はないが、ハッピィエンドといい、どうしても作られた一種の理想的幻想なのではないのか? という疑問が起こってしまうのだ。
後に指導助言した納谷真大氏に聞いたところ、最初、彼女たちとは演劇の話は一切しないで、ひたすら彼女たちの日常について話し合いをしたそうだ。
その中で自分たちに纏わるさまざまなエピソードが語られ、そのエピソードを取り込む形で戯曲が出来たそうだ。ただそのエピソードを語った本人がその役を演じるとは限らないそうだ。つまり等身大の彼女たちの日常が素直に現れているということが納得できたのだ。
それはともかく、この深川に人口たった2万4千人の極小都市に6つ目の劇団、それも高校生という若い集団が誕生したことは素直に喜びたいと心から思う。