演 目
つむぎブギウギ
観劇日時/09.1.25.
劇団名/エビバイバイ
公演回数/第3回
作・演出/斉藤麻衣子 音響/大江芳樹 照明/稲田桂
舞台係/畠中朝香 演出助手/南あいこ
衣装/谷本美帆 宣伝美術/橋本光一 
制作/能代みゆき・高城由香里
協力/大門奈央子・吉田菜穂子・水上真由郁・百瀬雪絵
劇場名/アートスペース201

4人の個性

 雑居ビルの中の一室、薄い灰色の壁が楕円形に造られ、低い天井には色とりどりの布製テープが格子のように張り巡らされて、何だか華やかなお祭り気分である。
同じような、手で引き裂かれた感じの布製のテープが、大きな塊になって部屋中の其処此処に置かれているというか、ばら撒かれているような感じである。
その塊は一つ一つが色の統一感を持っている。薄いオレンジと黄色の取り合わせとか、ピンクと薄い赤、パステル・グリーンと薄いブルー、紺色と黒、白とクリーム色、おそらく素材はタイトルにある「つむぎ」なのであろう。見ているだけで何とも柔らかい気分になる。
その妙な非現実的な部屋には、長女(=細木美穂)、次女(=春猫)、末っ子(近藤真澄)そしてなぜか、もらわれっ子(=斉藤麻衣子)が居る。
長女は喜怒哀楽の気性が激しい。失恋しているようだ。次女は怠け者で寝てばかりいる。ときどき目が覚めて箴言風のことを言う。
末っ子は行動派で、世話焼きで姉妹のリーダーシップを持っている。そしてもらわれっ子はまったく遠慮なく三人に溶け込んでいる。
この集団は、コンテンポラリィ・ダンスの集団だと思っていた。ところが今日の舞台はダンスらしいものは全くない。
一風変った幻想劇のようなもので、不思議なテイストの舞台劇だ。
コンテンポラリィ・ダンスの魅力は、表現者の意図に関わらず、舞台の進行に連れて物語が立ち上って来ることだ。観客の想像による物語の創造が出来ることだ。
そういう意味では今日の舞台は、ダンスもないしあらかじめ物語があるという設定からいって、僕の思うコンテンポラリィ・ダンスではなかった。
だが、これは物語というよりは、一人一人の個性の関わりようによる小さなエピソードの積み重ねだけのようであり、そこから何かを生み出してくるというエネルギーには足りないような感じだ。だが奇妙な雰囲気の展開には退屈はしない一種の魅力はあったのである。それが何だかは結局判らないままではあったが……