2008年12月
演 目
秋のソナチネ
観劇日時/08.12.1.
劇団名/TPS
公演回数/第26回公演
作・演出・音楽/斎藤歩 チエロ演奏/土田英順 演出助手/宮田圭子 音響・照明/TPS劇団員
宣伝美術/若林瑞沙 蕎麦打ち指導/磯田憲一
制作/阿部雅子・横山勝俊 
ディレクター/斎藤歩 プロデューサー/平田修二
劇場名/シアターZOO

家族の崩壊と再生

 街中の小さな蕎麦屋、手づくりに拘っているが、この若主人(=佐藤健一)の父親は三年前までここでラーメン屋をやっていて、突然行方不明になっていたのだ。
当主は脱サラしてラーメン屋は継がず、異業種ともいえる手打ち蕎麦屋を始めたという設定だ。忙しいときはOLの妹(=高子未来)が不承不承に手伝っている。
若い夫婦(=岡本朋謙・伊佐治友美子)が客としてやってきて、妹は結婚の相談をするが、兄は無関心であり半可通でしかない蕎麦通気取りのバカっぷりを披露する。
そこへ突然、父親(=土田英順)が若い妻(=林千賀子)を連れて帰って来る。二人の出会いがそれらしく語られる。
だがラーメン屋のオヤジがチェロの名手だったというのもちょっと信じにくい設定で裏づけが弱いし、親子ほど歳の違う夫婦も居ないわけじゃないけど、かなり無理っぽい。つまり無理に無理を重ねている感じが強い。
おふざけの要素が多く、人々の背景が単純すぎる感じがするが、開幕から若主人が実際に蕎麦を打ち、終幕で除夜の鐘が聞こえる中で客たちが実際に蕎麦を食べるという設定は目新しく楽しめた。でも秋なのになぜ突然に大晦日なんだろう。この期間の移り変わりが上手く表れていないような気がする。
この芝居もやはり家族の崩壊と再建の話のようだが、やはり『冬のバイエル』と『春のノクターン』に較べると薄味であった。
非常識ながら愛すべきキャラクターのアルバイト店員である木村洋次が楽しい雰囲気を醸し出していた。
妹と若夫婦は様々なパターンのキャストが組まれているが、僕はこの回しか観ていない。