2008年11月
演 目
Rhapsody 遥かなるメッセージ
観劇日時/08.11.30.
劇団名/BRETH
公演回数/第6回
作・演出/森ただひろ 音楽監督/山田浩貴
舞台監督・舞台美術/川谷孝司 照明/菅原圭一 音響/萬章保・仁木麻子 歌唱指導/熊谷美江 効果音/安田智 演出補/川邊彰彦
大道具チーフ/内野英明
劇場名/鷹栖町メロディホール

絢爛豪華な幕末劇

 幕末の動乱期、維新軍と幕府軍、新撰組や彰義隊などが激しく動く時代に活躍した、徳川慶喜・有栖川宮・勝海舟・近藤勇・西郷吉之助そのほか、そしてそれに大奥の女性、天璋院篤姫・徳川美賀子・和宮・滝山・その他の人たちの動向が絡む。
天璋院や慶喜に可愛がられた「彩」という予知能力の強い少女が助言するという形で活躍するのがユニークであり、実在の人物なのか、実在の人物に色づけしたのか分らないけど、正に物語の彩りを豊かにした。
明治32年、勝海舟の亡霊が現れ慶喜と共に往時を回顧するという枠組みを創る。動乱の時代が狂詩曲であり、それが後の世に対するメッセージであるという構成であろう。
本格的な衣装や化粧・鬘などを使い、絢爛豪華な時代絵巻を創出したのだが少し長すぎるような気がする。だが話がしっかりしているから、今までのブレースの舞台では一番見応えがあったと思う。
旭川の文化会館が事情で使用不能になり急遽このホールに変更したのだが、ここは文化会館に較べてずっと舞台が狭いせいか、いつもと較べてダンスが萎縮しているような感じがする。
殺陣ももっと迫力があったと思うのだが、今回のは、各組とも決まったパターンを繰り返しているような気がする。
ともあれブレースの過去の舞台は、技術的には抜群の力を持っているのに物語が安っぽくて付いていけないというところが大きかった記憶が強い。
今回初めて両者が逆転したと思ったが、やはり僕の言う「縦の感動」(物語の中のメッセージ)と「横の感動」(魅せて納得させる技術)の両立はつくづく難しいと嘆じざるを得ないのだ。
だが、それを求めるのが演劇だと思うし、大きくいえば表現(芸術)というものはそれに尽きると思われるのだ。

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 11月の舞台から 

☆ 雁野博士の憂鬱 
久しぶりの本公演であったが、いつもの説教調が薄く、向日的なラストが微笑ましい。狭い舞台を効果的に使っていたのも印象的であった。

☆ 二人の天使
シュチュエーション・コメディだが、少し無理な設定でも抜群の演技力で充分に楽しめた。

☆ アンネの日記
いまこそ「アンネ」だという思いと、市民劇団の舞台としては03年10月に観た、岩内の『飢餓海峡』に匹敵する。ここにも良い戯曲を誠実に上演すれば良い舞台が生まれることを証明した。