2008年10月
演 目
家を出た
観劇日時/08.10.26.
劇団名/演劇集合体マキニュウム
公演回数/てくてく公演Vol.5
作/鈴江俊郎 演出/槙文彦 演出助手/藤井勝 舞台監督助手/国門綾花 音響効果/大津充敬
☆ 女性3チームと男性2チームが組み合わせを替えて6つのパターンをつくり,それぞれが各2回ずつ上演して12ステージ、それぞれに役者が交代でスタッフを勤める。
出演者/村瀬有香・瀬川圭介・国門綾花・槙文彦・朝田敏之・藤井勝・七海玲・薄井寒太朗・金子綾香・氏原瑶子・鈴木健太郎・山本祐輝・徳田七絵・尾方聖恵
劇場名/レッドベリースタジオ

生死感を偶話で

 小さな個人病院の待合室のようなホール。人達が登場して和やかな雰囲気だが廊下に張り出された数字を巡って推測の論議が賑わう。
この数字は、入院患者のように見えるこの人達がここへ来てからの日数であるらしいのだがその意味が分からない。だが、やがてここが死んだ人達が一時的に本当に消え去ることを自覚するまでの緩衝場所であることが分かってくる。
人は誰でも必ず死ぬ。大往生する人もいるだろうし、この世に未練を残して死にきれずに死んだ人も多いに違いない。
恋人に先立たれ後を追った女。事故でいきなり死なざるを得なかった大学のバスケット部の4人。イジメで殺し殺された3人の女子高校生たち、この人達は自分が納得した場合だけ申告して永久に消え去る。
それは即物的であり、なんの情緒もなく唯物的でサッパリとした思想だ。
そして最初に看護師とも見えた、ここの人達の世話をする人たちは、その死者の中でも遂に自分を消し切れなかった人達の中から選ばれるのだ。ここにもやっぱり最終的な死を迎えられない人がいることに、何となくホッとするような気分も残る。そういう死生観を表現した一種の寓話劇と読み取れた。
出演者の組み合わせでたくさんのパターンを作り、様々な表現を較べる公演が最近多く見かける。やっている方は、いろいろな実験ができて収穫も多いだろうが、観る方は物理的に無理があり、中途半端な心残りが大きい。

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 10月の舞台から 

☆ いさかい   劇団 TPT(シアタープロジェクト東京)
単純明快だが、いかにも演劇らしい演劇で、好きなタイプの舞台であった。

☆ 白い木       劇団 Theater・ラグ・203 
初見では良く判らないが、これも観るほどに深みが感じられる。マニアックな創りだから評価が分れると思われる。

☆ 家を出た         演劇集合体 マキニュム
久しぶりにマキニュムらしい刺激的な舞台である。大勢の出演者が交代に出演するのだが、なかなか複数の舞台を観ることが出来ないのが残念。