演 目
キカヌ+クスリ
観劇日時/08.9.26.
劇団名/劇団ユニット イナダDX
作・演出/イナダ 
劇場名/たきかわホール

シチュエーション・コメディ

 32歳のフリーライター・月島翔子(=山村素絵)に突然襲った不幸な災難。というチラシの惹句である。
その不幸はどんどんエスカレートするのだが、大元のハプニングもその後にどんどん加速する不幸の数々も、元はといえば、この翔子が優柔不断で曖昧に生きているからに他ならない。笑って観ているが、観ている貴方も貴女も自分を省みて平気で笑っていられますか? と問われる。
或る朝、目が覚めると同じベッドに見知らぬ中年男(=武田晋)が寝ていたという発端。
そこから担当編集者で恋人の柴田浩司(=佐藤慶太)、元・上司で以前の不倫相手であった鴨川総次郎(=野村大)、妹・リサ(=宮田碧)は柴田の恋人であり、つまり柴田は姉妹に二股かけているわけだ。
さらにカメラマン・小松(=高田豊)、翔子に片想いし、裏で画策する変な編集者・恒松(=元吉純平)などが出て、乱れに乱れた男女関係が露になっていく。
しかしこれは結局、翔子の責任でしかない。うまく付け込まれているだけなのだが、それが翔子の懲りないというか、どうにも出来ない弱さであり、弱い人間一般の拡大雛形として表示されたのであろう。
個々の登場人物の個性がはっきりとしていて、それぞれが極端に戯画化されているのだが、それがリアリティを外さないところがこの集団の力であろうか。
「ストレス解放同好会」の下ネタが気持ち悪いし、すぐ裸になるのも悪趣味だが、これも戯画化の一種であろう、だんだん気にならなくなるのが不思議だ。
ラスト、星空の下ネオンの光が反射する屋上と、めちゃくちゃに散らかった翔子の部屋での、中年男と翔子との電話の会話がメルヘンチックで向日性が楽しいシーンであった。
その他の出演者、吉江和子・菊地英登。




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☆ 狂人教育     流山児★事務所

☆ キカヌ+クスリ     イナダ組