演 目
白い木
観劇日時/08.9.3.
劇団名/Theater・ラグ・203
公演回数/Wednesday Theater Vol 19
作・演出/村松幹男 音楽/今井大蛇丸
音響オペレーター/湯澤美寿々
照明オペレーター/平井伸之
美術・宣伝美術/久保田さゆり
劇場名/ラグリグラ劇場

騙し絵的人間観察

 男(=村松幹男)と女(=斉藤わこ)。大きな白い木を背にした二人の男女が、遥かな草原を目の前に幸福感に浸っている場面から始まる。
だが、男は女を誰だか分らないという不思議な状況から、まるで騙し絵のように立場を入れ替えて、自己喪失のあげく何が本当なのか混乱する。
医者と精神病患者、取り調べ官と被疑者、青年と人妻などなどを演じるのか思い込むのか? 最後は本当の夫婦らしいのだが果たしてそれも真実なのか?
サイコロを使う遊びの中で、正多面体の定義が語られ、それがこの二人の関係の多面体性を解説しているような趣も感じられる。
人間関係の儚さ、自意識の危うさ、などが二人の様々な関係の転換によって示されて行く。
だが、知的遊戯の側面が強く、ほとんどが二人の会話だけであり、余りに論理的抽象的で芝居としてのエンターティンメント性が乏しい。だからそれが不満だと思う人には評価が低いであろうし、演劇としての魅力が不足していると言わざるを得ないのだ。